コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


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大統領就任式で、ミシェルさんが着たイザベル・トレドとジェイソン・ウーの意外な経歴

歴史的瞬間というものがある。
人類が初めて月にたった瞬間だとか、ベルリンの壁の崩壊だとか、ソ連崩壊だとか。

思い返すと、21世紀になってから911同時多発テロとかイラク侵攻とか暗い話題が多かったけれど、今日のオバマ大統領就任式は、まさしく歴史の歯車がひとつ動いた瞬間だった。

この日があとでどう評価されるようになるかはわからない。
けれど、バラク・オバマという名前の人物が大統領になるというだけでも、アメリカという国の多様性がよくわかる。

アフリカ系の姓名をもつ人物が世界史にこれだけ大きく登場したことはないわけで、確実に世界は変わってきているのだ。

ひとの考え方というのは、ほんとうに時代につれて変わっていく。
集団が共同にもっている常識とか認識は、それこそ生きものみたいに、どんどん変化するのだ。

三十年前は、誰もケータイを使う未来を想像していなかった。
三十年前には、女性が働きながら子育てしているなんて、ふつうだとは考えられていなかった。
世界は動きつづけて、昨日はありえなかったものが、今日はありえるようになる。
だから未来もどんどん変えていけるものなのだ。

さて大統領就任式。
このブログであつかうといったら、当然ミシェルさんウォッチングです。

じゃーん、今日のお召し物はこれよ!
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黄色のコートと、シフトドレスのアンサンブルは、イザベル・トレド(Isabel Toledo)のもの。
パンプスはジミー・チュウ。
そしてグリーンの手袋は、Jクルーだそう。
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コートはブロケード地になっていて、きらきらとした輝きが華やかで、晴れの舞台にふさわしいもの。
シフトドレスの襟元がジュエルカラーになっているのも、今年のトレンドを押さえていますね。
黄色を選んだのはめずらしいチョイスだけれど、明るくて、とてもフレッシュな印象です。
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この服のチョイスはアメリカのメディアでは大好評。
赤や青(国旗カラー)にしないで、希望の色である黄色にしたのは賢明な選択という評価ですね。

しかしまさかイザベル・トレドとは、予想外の大穴ですな。
大統領選の最中にも、ミシェルさんはイザベル・トレドの服を着たことがあって、どうやらお気に入りのよう。

ほとんどのアメリカ人だって知らないデザイナーですから、ミシェルさんの選択眼がかなり広いことが伺えますね。

イザベル・トレドはキューバ生まれのアメリカ人デザイナー。
08年にファッション工科大学(FIT)のクチュール協会賞を受賞している実力派。

このひと、じつはNYのファッション業界では一昨年話題を集めたことがあるんですよ。
07年にアン・クラインのクリエイティブ・ディレクターに就任して、イザベルが手がけたコレクションはメディアではとても評判よかったんですね。
とてもフレッシュでナイスでした。
ところが売上げの問題があったのか、いきなり生産中止になっちゃったんですよ。
で、そのあとイザベルも退社したといういきさつがあったんですよねー。

ファッション界もキビしいわよねー。
才能があっても売れなければ切られちゃうんだから。

そのイザベルの服が就任式で脚光を浴びるとは!
よかったじゃないか、イザベルさん。
どこで運がめぐってくるか、わからないものです。

そして夜になってからミシェルさんが舞踏会でまとったのが、ワンショルダーのクリーム色のガウン。
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アメリカでは「大統領就任式の舞踏会に、ミッシェル・オバマがなにを着るか?」というのが話題になって、さんざんデザインが出されたんですよね。

で、最終的にこれ。
なんとジェイソン・ウーJason Wuのデザインです。
これまたかなり驚きの選択ですね。

ジェイソン・ウーは若干26歳。台湾系アメリカ人青年です。
NYファッション界の超新星で、ハイソサエティのソーシャライトを顧客として、エレガントで上品、かつフェミナンな服作りを得意とするデザイナー。

もともと彼はドールの服を作っていたという異色の経歴を持つデザイナーなんですよ。
それがコレクターアイテムとして人気を博すようになって、「生きている女性」が着るドレスをデザインするようになったという次第。
そのせいかかなり理想化された女性像、あまりリアル感のない、純化された女性美を感じさせますね。

セレブのご贔屓もいて、前回の09春夏コレクションでは人気番組「ゴシップガール」のレイトン・ミースターが会場に来ていました。

こちらはジェイソン・ウーの09春夏コレクションから。お嬢さんっぽいよね。
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こちらはリゾート・コレクションから。
今日のミシェルさんドレスに近いですね。
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ワンショルダーというのが今春のトレンドなので、このドレスもかなり「ポイントを押さえている」チョイスといえます。

ただし全体にふわふわとしたシフォンの飾りがついていて、かなり甘い雰囲気で、ちょっとミシェルさんの雰囲気には意外だったかも。

このチョイスはアメリカのメディアでは賛否両論で、
「すばらしい!」
と絶賛するひともいるいっぽう、評論家からは、
「もっとシンプルなスタイルのほうがあっているのでは」
「彼女が得意とするジュエルトーンのドレスにするべきだった」
といった意見もあり。

わたしも個人的な意見でいうと、ミシェルさんにはキリッとしたミニマルなスタイルのほうが似合うと思いますけどね。

それでもミシェルさんの美しさはダントツ。
過去の歴代大統領就任式のファーストレディのドレスを観ると、もうミシェルさん圧勝ですな。
ジャッキー・ケネディ以来の美しさ。

過去写真をチェックすると、ここ20年くらいファーストレディが腕を出したことすらなかったんですね。
ミシェルさんの二の腕、みごとにたるみがないもんなー。
どんだけ鍛えているのかと。

ちなみにこのドレスをまとった妻をともなって、オバマ大統領が観衆の前でいったひとことが、

"First of all, how good-looking is my wife?"

「最初にいいかな、うちの奥さんはステキじゃないかい?」

おお、しびれるね。
このセリフ。みなさんの旦那さん、カレにもぜひ暗記させていわせましょうぜ!
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by erizo_1 | 2009-01-21 15:51 | トレンドの泉