コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


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不況の時代に身につまされる「東京ソナタ」

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「東京ソナタ」がNYで3月13日から封切られることになってプレミア上映会で鑑賞。

主演は香川照之(うまい)、そして奥さんに小泉今日子(懐かしい!)
役者はみんないいです。子役もうまい。脇役もうまい。
役所広司は出てくるだけで観客の注意をぜんぶ持っていっちゃうし(笑)

さてこの物語、なにがタイムリーといってリセッションの話なんですね。
ある日会社をクビになる香川照之。
しかし妻に打ちあけられないまま、毎日スーツを着てハローワークに通います。

いっぽう次男にはピアノを習いたいという夢があるけれど、親に反対されて、つい隠し事をしてしまう。
長男はアメリカの軍隊に入りたい。
そんな子どもたちにせっかく作ったドーナッツも食べてもらえず、家族がバラバラになるなか、どうすることもできないお母さん。

いわゆる機能不全の家族が危機におちいって、そこから再生をめざすという家族の物語なのですが……。

この時代にこの話、ものすごーく身につまされるね。
不況まっただなかのNYではあまりにドンズバ。

おまけにエリぞうにとっては身につまされるどころじゃない話だったのよ。
なぜならわがやでも同じことがあったからです!

もう何年も前になるのだけれど、ある日ピータローと話していて、なんかへんだなと思ったことがあったんですよ。
よく問い詰めてみたら、なんと会社を辞めていたことが判明したことがあったのだ!

「ええええーッ、会社を辞めているーーーーッ」

それもよく聞いたら、辞めてすでに3ヶ月くらい経ったあとだったのだ!

し、知らなかった。
うちの旦那が就活中だったとは……。ボーゼン

しかも辞めた理由が上司とのケンカ!
上司と激論になって、「だったら辞めてやる!」みたいなノリで辞めてきちゃったらしいのだ。

おいー(汗)そんなマンガみたいなことをするなよー!
辞めるんだったら、その前に妻にひとこと相談してくれよ!
てか、辞めたら、すぐにいえーッ!
大事なことを隠しているとは、なにごとぞ。
ふざけるなー!

ええ、そりゃもうブッチしましたよ、怒りで吠えまくりましたよ、エリぞうは。
がるるるるー!

さすがにそれに懲りたのか、以降は行動を改めたピタ先生でしたが、考えてみると、気づかなかった妻も妻だよね(苦笑)

いや、ふつうの奥さんなら、旦那のスーツを用意したり、朝ごはんを整えたりするから、気づくんだと思うんですよ。

しかしエリぞうはなんたってグータラ大将。毎朝彼の出勤にあわせて起きるとか、朝ごはんを支度するとか、アイロンがけをするといった妻のマストハブを一切やったことのない、ダメ妻なのである! ひえー!

ピタ先生が気にしないのをいいことに、朝の業務いっさいをやらないというスーパー手抜き妻なのであった。すいません。

おかげでぜんぜん気づかないというハメに。
しまったー!

それで日本にいる同業の男友だちと電話で話したときに、その件にふれて、
「ピーターが黙っていたんだよ。頭にくるなー」
とグチったところ、
「いやあ、おれはわかるよ。ピーターさんの気持ち。男はいえないって、それ」
と彼がコメントしたのであった。

ふーむ、そうであるか。男とはプライドを保ちたいものであるのだな。

というわけで、この状況、非常によくわかる。
実際にこのところわたしの周囲でもリセッションでリストラされているひとたちは増えているし、なかには日本にいるご両親に「仕事がなくなったといえない」という友人もいるのだ。

「つぎの就職先が決まったら話すつもり。
でも今の段階で、親に心配をかけられないから、とても打ちあけられない」

とその友人はいうんだよね。
もちろん家族にしたら「困った時はいってよ」「苦しい時だからこその家族じゃないか」「つらい時は頼りにしなさい」と考えているに決まっているんだけど、本人としては心配かけたくないわけだよ。
家族愛があるから、いえない。
せつないよね。

現在のNYでは、このお父さんの立場というのはまるっきり笑いごとじゃないよね。
実際にいくらでも起こりうることなんだから。

この「東京ソナタ」はカンヌ映画祭の「ある視点」賞を獲得して、シカゴ・インターナショナル映画祭でも受賞。
非常に海外で評価されている作品です。
今週のTime Out New Yorkでも、高い星を取っています。

ポイントは、失業してもわざわざスーツにネクタイをして毎朝きちんと出勤して、ハローワークに日参したり、炊き出しに並んだりする父親のすがた、これにつきるでしょう。

このシャキッとしたダークスーツにネクタイを締めるあたりがすごく日本的であり、また同時に世界のどこにいても失業や秘密というモチーフは普遍性があるから、共感を呼ぶのではなかろうか。

ちなみにこの映画のなかの妻はすばらしい良妻です。
キョンキョンは気づいていても、夫の気持ちをおもんぱかって黙っていてあげる。
すべてを胸のうちに納める妻。
夫にも子どもにもやさしい妻。もくもくとごはんを作る妻。

うーわー。偉いなー。
世間の奥さんってこんななのか。偉すぎて、わたしから見ればだぜ(てか、おのれがダメすぎなのか)

それにしても日本の家庭っていまだにこんなに妻がなにもいわないんだっけ?

この映画の語りどころポイントは「日本の家庭」というところにあるんですが、長文になってしまうので、以下つぎに続きます!


東京ソナタ

NYでの上映館  3/13~
Lincoln Cinema Plaza : 1886 Broadway between 62nd & 63 rd Streets
IFC Center : 323 Sixth Avenue @W3rd Street


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by erizo_1 | 2009-03-13 17:15 | エンタメの殿堂