コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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「東京ソナタ」の家庭風景は今でもふつう?

さて昨日の続きで「東京ソナタ」です。
リセッション時代にドンズバなこの映画。
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ちょっと驚いたのが、日本の家庭風景でした。

えんえんと食事のシーンが繰りかえされ、日本のホームドラマの伝統や、「家族ゲーム」(森田芳光監督)を彷彿とさせるんですが、

「お父さんがビールを飲むあいだ、家族は食事に手をつけないで待っている
「大学生の息子が食事前に箸や食器を食卓にならべる」
「夫が朝出勤するときに、妻がカバンを持って待っていてあげている」

といろんな場面で驚きが。
なんだ、すごいしっかりしたコンサバな家庭じゃん。

悪いけど、これで家庭崩壊だったら、うちの実家なんて崩壊しきっていてミジンコですよ!  こんな家なら、なんにも悩む必要すらないよ! 

日本の家庭ってこんなに父親だけが発言権のあるものだっけ?

これについては、うーむ、これが今でもふつうなのか、わたしが在外邦人であるために感覚がズレてしまっているのか、正直いって判断できないです。

なので、みなさんのご意見を知りたいところ。
これってしっくり来ます?
それとも違和感ある?

在外邦人のかたはぜひ映画とご自分の日本観を比べてみて下さい。

さらにいえば、
「父親が子どもの襟首をつかまえて揺さぶる」
という星一徹な場面があって、ちょっとびっくり。

子どもに対する暴力描写はアメリカ映画では慎重に排されているので、映画のあとにアメリカ人の観客に尋ねてみると、
「父親がアビューシブだわ」
「なぜ妻が止めないのかしら」
「子どもに対して横暴すぎる」
とそのシーンについては眉をひそめていました。

ちなみに原案はオーストラリア人の新進脚本家マックス・マニックス。
リストラされた父と隠れてピアノを習う息子というモチーフが出発点らしい。

で、プロダクションノートを見ると、長男の「アメリカ軍入隊」と「泥棒に拉致される奥さん」の二つのエピソードは、黒沢監督が足したものらしいです。

たしかに二つのエピソードは、物語の流れのなかでは異質な要素になっているんですよ。
ホラー映画で知られる黒沢監督としてはダークファンタジーにしたかったってことなのか?

なにはともあれ、この映画でもっともすばらしいのは、最後のシーンに出てくるピアノの演奏。
このドビュッシーの「月の光」は美しい。本当にすばらしい。
心にしみいってきます。

まさに一筋の月光のように、暗くうつむいている心に差しこんできてくれる音色。

たしかにピアノの音色は、失業だの戦争だのといった問題にはまったく力はないし、なんら腹の足しにもなりません。
でも心の糧にはなる。
そしてそれこそが生きていくのに必要な力ではないでしょうか。

この映画を観たあとでは、仕事や人生で疲れたとき、この曲を聴きたくなるだろうと思います。
ぜひ珠玉の「月の光」を聴いてみて下さい。


NYでの上映館  3/13~
Lincoln Cinema Plaza : 1886 Broadway between 62nd & 63 rd Streets
IFC Center : 323 Sixth Avenue @W3rd Street



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by erizo_1 | 2009-03-14 10:02 | エンタメの殿堂