コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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予習をお勧め! 映画「ウォッチメン」

グラフィックノベルを原作にした映画「ウォッチメン」を鑑賞。
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ピータローが行きたいというから、ついていったエリぞう。
なんの知識もなく観てしまったのでした。やばし!

ウィキペディアを調べてみると、こんなふうに説明してあります。

アラン・ムーア原作、デイヴ・ギボンズ作画による、12巻のアメリカン・コミックである。最初のシリーズは1986年から1987年にわたり、DCコミックから月刊誌として出版され、後にグラフィックノベルとして一冊にまとめられた。

フランク・ミラーの『バットマン:ダークナイト・リターンズ』やアート・スピーゲルマンの『マウス』と共に、『ウォッチメン』はアメリカン・コミックの分野における道標的作品であり、1950年代以降はアメリカン・コミックから失われていた成人読者を、再びこのジャンルに呼び戻した作品であると見なされている。


ふーん、すごい作品なんですね。
ちっとも知らなかった。

原作は作中内に資料、たとえば引退したスーパーヒーローの自伝・新聞記事・インタビュー・警察と精神科医の報告書・その他の記事からの抜粋を載せているらしい。
つまり虚構の一次資料を載せているという凝った構成のよう。

ぜひ機会があったら、原作を読んでみたいものです。
そんなことなにも知らずに観に行ったものだから、大失敗!

映画はひとりの初老の男が謎の侵入者に襲われるところから始まります。

びしばしびし、いきなり繰り広げられる闘い。
ばきッ!
頭が大理石のカウンターにぶつかると、そのカウンターが壊れるのだ。

(なるほど、この人たちはスーパーパワーを持った超人という設定なのだな)

と思って観ているエリぞう。
そして死闘の末に殺されてしまった、その初老の男がかつて「ウォッチメン」として活躍した「コメディアン」という男だったことがわかります。

いったいウォッチメンたちを狙うのは誰なのか?
かつてのウォッチメンのひとり、ロールシャッハはそれを探りだすのであった。
そしてかつての仲間、シルクスペクター2やナイトオウルにも何者からの攻撃が加えられ……!
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タイトルロールで、40年代から始まったヒーローの恰好をした自警団のなりたちや歴史がアルバム形式で見せられていく。
このタイトルロールはじつに巧みで、洒落ています。

つまりウォッチメンというのは人間なのだが、覆面ヒーローの恰好をして、社会の秩序を守っている「自警団」らしいのだ。

(え、なに? 人間なの? ただの人間? ちょっと待てやー!)

すいません、この時点で既に出遅れて、すっかりついていっていませんでした。
なに、この人たち、虎の穴かなんかで修行してきたの?

ロールシャッハも超能力者だと思って観ていたら、途中でやっと「ふつうの人間」だとわかったし。
しまったー! 予習しておけばよかった。

映画だけ観ていると、誰がたんなる人間で、誰が超人なのか、その区別がつきにくいんですよ。どう見わければいいのだ?

というわけで今回エリぞうに映画を語る資格なし
本筋と関係ないところにばかり目がいっていました。

この映画の設定では、時は1985年
ニクソン政権が続いているという設定で、キッシンジャーも出てくるのね。

米ソは冷戦時代
核戦争の瀬戸際にあるという設定です。

ウォッチメンのひとりは、核物理学実験の事故によって、純粋エネルギー体に変容したDr.マンハッタン。

青く光る彼(しかもつねにヌード!)はどこにでもテレポートして、なんでも一瞬にして破壊できるスーパーパワーを持つ。ベトナム戦争も彼のおかげで米国の勝利に(えーッ!)

しかしそんな怪物がアメリカにいるとしたら、他国がそもそも核戦争なんかしかけないんじゃないのか? そのあたりの経緯はよくわからない。

もうひとりのウォッチマン、オジマンディアスは引退して今は大企業の社長として君臨。
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ソ連邦の指導者と、キューバのカストロらしき人物が出るシーンがあるんですが。
あれ? フルシチョフ?

ブレジネフ(ゲジ眉に宍戸錠のほっぺたがトレードマーク)じゃないよね?
あきらかにゴルバチョフ(ハゲにアザがトレードマーク)でもないな。
あれはフルシチョフという設定かしら?

背景にNYのレトロスペクティブな光景もどんどん出てきます。
これがおもしろい!

アンディ・ウォーホールと彼のファクトリー。

おおお、スタジオ54だーッ!
NYの名所だったディスコのスタジオ54が出てきて、店の前にはビレッジ・ピープルがいるー!(笑)
一瞬のシーンだけど、お見逃しなくね。

そしてなによりニューヨークに住む者にとって、胸にこたえる背景がある。それはなにかといえば、

ツインタワーがある!

そう、そのNYには世界貿易センタービルディングが建っているんだよね。
ああ、この世界にはツインタワーがあるのだなあ、とミョーに感慨深いものが。

話は80年代半ばに設定しているけれど、映画のなかの風俗は70年代といっていい。
音楽も懐メロのオンパレード。

しかしながらリアル80年代前半といったら、マイコー、マドンナ、デュラン、カルチャー・クラブ、ワム! あたりがヒットしていたはず。でも彼らの音楽は出てこないの。70年代の音楽がメイン。

そうかー。この「ウォッチメン」のユニバースにはマイケル・ジャクソンは存在していないんだね。

あとこの映画、なぜかミョーにセックスシーンが長いです。
えんえんと男優さんのナマ尻を観ることに……(汗)

と関係ないところばかり注意がいっていて、ぜんぜん映画鑑賞になっていませんね、すいません。

さて物語に戻ります。
ウォッチメンたちもヒーローの恰好はしていてもふつうの人間だから、内面がちっとも優れているわけでなく、それぞれ内心の葛藤もある。

人間じゃなくなっているDr.マンハッタンですら、「年喰ったガールフレンドを捨てて、若いオンナ、シルクスペクター2↓に乗り替える」のだ。>おいおい!
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しかしこの若いシルクスペクターのほうはDr.マンハッタンと別れ、人類に興味がなくなったDr.マンハッタンが火星にテレポートしてしまい、米ソは一触即発の危機に。

さらにウォッチメンたちが探りだした驚愕の真実とは……!

「ビリオンの人間を助けるために、ミリオンの人間を犠牲にする」

という命題が映画のなかで出てきます。
はたしてこれをどう登場人物たちがどう考えるかは、映画の結末をご覧下さい。

この映画では、登場人物のそれぞれが違う考えを持っているところが、アクション映画にしては非常にめずらしい。

しかしながら、ふと考えてみると、
「ミリオンの人間がサバイバルするために、ビリオンを犠牲にしている」
というのが現実世界ではなかろうか。

飲料水にも電気にも困らないわれわれ先進国の人間たちと、饑餓や戦禍に苦しむビリオンの人たちを比べると、胸にこたえるセリフでもある。

映画とは違って、現実にはソ連が瓦解して、米ソの冷戦はとっくになくなっている。

80年代には誰も予想すらしなかった、イスラム過激派テロリストからの攻撃で、ツインタワーが崩壊した、この世界。

地球温暖化が、ミサイルより身に迫った脅威になっている今の世界。
金融危機で、いっぺんに世界中が不況になった世界。

事実は小説より奇なり」というコトバがあるけれど、当時と今を比べると、まったく奇妙な感覚に陥ってくる。

どういうわけか今回は映画のなかよりも、外のことがひどく胸に迫ってくるのでした。

というわけで、これはわたしのようなアメコミ門外漢がいくような映画じゃなかったですね、すいません。

原作ファン、アメコミの知識がある方、アニメの歴史に詳しい方にお勧めします。
知識があればあるほど、おもしろい映画じゃないかな。


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嬉しいなー!

ありがたいことに今まで何人か編集さんや業界の知りあいに「むかし読んでいました!」といわれたことがあるのですが、だいたい20代後半の女性ですね

あの頃小学生だった子どもたちが今や第一線で活躍しているんだなー。
しみじみ。
それに比べてオレって成長なし、トホホ。

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by erizo_1 | 2009-03-27 12:33 | エンタメの殿堂