コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


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「好きなこと」と「得意なこと」を考えてみる

つい先日米国留学中の学生さんから進路相談を受けたんですが、とてもマジメなお嬢さんでした。

話しているうちに、昂ぶったのか涙を急にポロポロ流して、ちょっとびっくり。
本人も泣き笑いしていましたが、これが若さだよなあ、と久しぶりに清々しい気持ちにもなりました。

NYに住んでいるせいか、わたしは若い子たちから将来の相談を受けることがしばしばあります。

仕事の選択をどうするか、海外で働くのはどうなのか、若い時は迷って悩んで試行錯誤して当たり前。

そこで今日は将来を模索しているひとにむけてアドバイスを。

大人のみなさんは今さらいわずもがなでしょうから、テケトーに聞き流して下さい。

さて声を大にしていいたいアドバイスは、まず「自分のことを知る」ということです。
自分はどんな人間なのか、よく分析してみること。

「えーと、よく明るいっていわれるんですけど、ひとりになると、けっこう落ち込んでいることが多くて……」

いやいや、この場合は欠点とか性質とかじゃなくって「得意なこと」です。

あなたの持っている能力はなんだろう?
あなたが得意としていて、社会で換金できるものはなに?

世の中には「好きなことで喰えるわけがないよ」というひともいます。

わたしはまったくそう思わない。
反対に「好きなことをやるのが、いちばん成功しやすい」と考えるタチ。

なぜならそのひとのもっとも高い能力こそ、いちばん高く売れるはずだから。

でも「好きなこと」をやろうとする時、ありがちな落とし穴というのもあって、それは自分自身をよく知らないことなんですよ。

ずばり「好きなこと」と「得意なこと」を取り違えていることが多い。

ふつう「好きなこと」と「得意なこと」は重なります。

得意なことっていうのは子どもの頃から好きで繰り返して訓練しているから、得意になっているもの。

お笑い芸人になるひとは小学生の時から周囲を笑わせていて、自分はおもしろいことを自覚しているはず。

好きこそモノの上手なれ、というやつです。

ところが自分の「好きなこと」と「得意なこと」がごっちゃになっているひとも少なからずいるんだね。

これがまったくふしぎなことに、あきらかに本人がさほど得意ではないことを、やりたいというケースがある。

じつは他の分野だったら成功しそうなのに、その能力には気づいていないこともある。

でもってこれまたふしぎなことに、本人には自覚がない
つまりおのれの見つめ方がちょっと足りないわけです。

おそらく本人がこうありたい理想の自分が高すぎて、せっかくある現実の自分を見逃してしまっているのかもしれないね。

だからまず、あなたが好きでやりたいことは、あなたの得意とすることなの? と自問してみて下さい。

もし迷っているなら、まず自分の「得意なこと」をリストアップしてみること。
そして「得意なこと」を仕事にしたほうがいい。

なぜなら好きなことは年齢によって変化することがあっても、得意なことは変わらないし、年を経るごとにスキルに磨きがかかっていくから。

たとえば学園祭のステージに立つのはそりゃみんな「好き」で楽しいよ。
でも50歳になってもコンスタントに作曲するのが好きなひとはどのくらいいるだろう。

いっぽう曲作りがとても得意なひとだったら、何歳になっても音楽を作るのは得意でしょうね。

あることを「好き」という時に、本当にその作業をするのが「好き」なのか、それを毎日コンスタントにやるのが苦にならず、莫大な作業量をこなせるスペックがあるのかってことです。

もちろんやってみなければ、得意かどうかわからないこともある。
でも実際にやってみれば、おのずとわかる

わたしは子どもの時から書くのが好きだったので、将来は書く仕事に就きたいと思っていたし、職業選択について迷ったことはないです。

だけど大学時代に演劇をやっていたこともありました。
芝居が好きだから。

で、やってみたらわかった。
演じるのは得意じゃなかったですね。

わたしは誰かの心象になりきるのは得意だけど、それを自分の肉体を通して表現するという能力はない。

だから小説を登場人物の気持ちになりきって書くことならできるけど、ひと前で自分を開放して感情をあらわすなんてことはできないし、それをとことんやりたい気にもならなかった。

たとえ自分が「好き」でも、得意としていないことだってあるものです。

それはもしかしたら「好きだ」と思いこんでいるけど、本当はさほど好きではなかったり、あるいは「好き」である要素がその職業で必要とされる「好き」とは違ったりするのかもしれない。

それでもどうしてもやりたいなら、本人の選択だからかまわないんです。
突き進めばよろしい。

でも迷いがあるなら、まず「得意なこと」を書き出してみること。

べつに資格だの特技だのじゃなくても「初対面のひとでも話せる」とか「いわれたことはきちんとやる」でも、なんでもオーケイ

学校を出たら、社会に放り出されます。
とにかくなんでもいいから、自分の持っている武器や道具でサバイバルしていかねばならなくなる。

持っていない武器では戦えないし、また自分が持っている武器に気づかなくてはそれを使うこともできない。

だから自分のことをよく知ること。
自分の持っていない道具をないものねだりするより、いま自分が持っている道具を駆使して、なにがなんでも前に進むこと。

バズーカ砲がなかったらで、槍がなかったら棍棒で、棍棒もなければマキビシを蒔いてでもやるしかないんです。

持っているものはなんでも使うこと。

心配しなくても大丈夫。
あなたはすでに必要な道具を持っている。

ちゃんと誰にでもなんらかの能力が授けられていて、旅に出られるようにできています。

だから、まず持っているものを点検して下さい。
あなたが持っている袋のなかを探せば、必ず役立つものが出てきます。

あなたにとっては「こんなものが?」と思うような、些細なものに見えても、じつはそれは未来を切り開くツールかもしれない。

常に自分の「得意なこと」はなにかを考え続けていくこと。

働いている限り一生考え続けることです。
わたしも毎日考えています。

一緒に考えながら、進んでいきましょう。
あなたが持っている力で、必ず未来は切り開けます。
Be strong!


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by erizo_1 | 2010-01-09 17:13 | 心の小部屋