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コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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酒の次は日本のウイスキーがNYで人気になる!

先日FCI(フレンチカリナリー・インスティテュート)で、日本のウィスキーについてのレクチャーがありました。
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これは「日本の食文化を米国に広める」という理念を持ったNPO、が主宰するセミナーで、「オール・アバウト・ジャパニーズ・ウィスキー」というタイトルでの開催。

サントリーのチーフ・ブレンダー、輿水精一(こしみず せいいち)さんさんが来米してのセミナーです!
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日本のウィスキーはNYでは10年前はほとんど知られていなかったのに、最近はお客さんのほうから指定して飲む人が増えてきたそう。

実際にサントリーの山崎や響は、世界のウィスキー・コンテストでたくさんの受賞に輝いているのです、ゴイスー!
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まず今や高級シングルモルト・ウイスキーの代名詞でもある山崎の試飲です。
こちらが配られた原酒です。
うひゃー!
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左からホワイトオークの樽で熟成したもの、シェリー樽(Sherry Butt)のもの、そしてミズナラの樽のもの。

おお、色の違いが、はっきりとわかります。
口に含んでみると、フレイバーも違う!

うーん、馥郁とした香りで、おいしい!
そして強くて目がクルクル

ホワイトオークのものには「バニラ」のようなフレイバーがあり、シェリーには「チョコレート」、そしてミズナラには「白檀」のような香りがあるんですよ!

エリぞうのようなシロートは、説明を聞いて「あー、いわれてみれば、そうかも」としかわかりませんが、出席していた利き酒師の新川ちずこさんはやっぱり「わかる」といっていましたね。

ミズナラは日本だけの樽。
なんでも戦後にアメリカからホワイトオーク材が輸入できなかったために、苦肉の策として使われるようになったとか。

ところがこのミズナラ材が大正解だったそうで、日本らしい繊細なフレイバーが出るそう。
まさに日本のウイスキーならでは。

そして驚いたことに、サントリーでは輿水さんを始め、なんとブレンダーさんみずからが山にわけいり、樽にする樹を選ぶのだそうです。
さすが職人気質!

こちらはの試飲。
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響は多彩なモルト原酒に、グレーン原酒をブレンドした高級ブレンデッド・ウイスキー
響12年は日本に先駈けてヨーロッパで先行発売されたというインターナショナルな品です。

響の12年、そして18年を試飲しました。
きゃー! なんというゴージャスな!

ちなみにブレンダーさんたちは水と一対一で割って飲むそうです。
それがいちばん香りや味を引き出すらしい。
ふふふ、ツウな飲み方なんだぜ!

響に使われている原酒モルトですが、これが凝っているんですよ。
ひとつが梅酒樽に詰められたモルト。
30年ほど使った空樽を再び焼いて梅酒を入れて二三年寝かして、そのあとにあけた樽(梅酒じたいは梅酒として販売されます)に再びモルトを寝かしているんだそうです。
こうしてできたモルト原酒には、フルーティで繊細な香りが!

そしてもうひとつが三十年越えの古いウイスキー。
こうした古いウイスキーは熟成しすぎていて、味としては必ずしもよくないんだそうです。

それをあえて混ぜるわけです。
いったいなぜか?

それは「できのいい原酒だけブレンドしていっても、線の細い味になってしまうから」と、輿水さん。

Naughtyな(行儀が悪い、きかん気な、ワルな)ものを混ぜてこそ、深みのあるウイスキーになるんだとか。

うーーーぬ!
このコトバに打たれて、思わず腕組みしたエリぞうでした。

これぞモノ作りの真髄ですね。
さすが

なにかを組みあわせて作る時って、よいものや趣味の洗練されたものを合わせているだけでは、無難になっちゃうんですよね。
いいんだけど、つるりとひっかかりがないものになってしまう。

しかしながら、ここにひとつ強烈にクセのあるものをいれると、全体が締まって個性や奥行きが出る。

もちろん「エグい」ものが多すぎては悪趣味になったり、野暮になったりしてしまうわけで、本当に微妙な匙加減であるべきで、その配分にこそセンスが光るというものでしょう。

これってどの世界でも同じではないでしょうか。
アートから舞台、ファッション、小説、料理、デザイン、音楽、はたまたバンドだって一人は変な顔を混ぜないと印象が薄くなるよね(笑)
非常に含蓄あるコトバです。

人間だってたんなるいい子であったらおもしろくもなんともないわけで欠点や変なところや癖があってこそ、そのひとの魅力じゃないですかね〜。

そして五絆ソサエティの招聘によって山崎蒸留所を訪ねられたシェフのSuvir Saran さんがウイスキーを隠し味に使ったお料理を披露!
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この響は竹炭で濾過することで、繊細な日本だけの味に仕上げてあるんだそうです。
作る工程のひとつずつにこれだけ手間暇がかけられていると知って驚きでした。

日本の文化のすばらしさは、職人気質が息づいているところでしょう。
もの作りに対して妥協がない
とことん道を究めていく姿勢が、質の高い食文化を作りあげてきたと改めて認識します。

これは誇りにしていい日本文化だと思います。

職人に徹していることで「匠」「名人」の風格を身につけている輿水さん。
渋くて、カッコええ!
左から五絆のエグゼクティブディレクターである瀧上妙子さん、輿水さん、そして五絆のファウンダーである川野作織さん。
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日本の職人気質がみごとに結実したウイスキー。
さらに世界で人気になっていって下さい!
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by erizo_1 | 2010-08-09 16:45 | 食の魔宮