精子バンクを利用した友人の話
2005年 08月 05日
クリスはピータローの大学時代からの知人。
彼女はNYUの大学教授をしていて、シングルなのだが、二年ほど前に中国から養子をとって娘にしている。
中国ではひとりっこ政策をとっていたために、男子をのぞむ家庭が多く、女の子が捨てられることがたいへん多い。
いっぽうアメリカで養子をとりたい家庭は、女の子を望むことが多いので、中国から養子をとるのは人気があるんだよね。
うちの近所でも、白人の両親が中国からとおぼしき女の子を連れている光景をときおり見かける。
それにしても女の子ばかり捨てるなんて、将来中国本土では独身男があまってたいへんなことになっちゃうと思うんだが、どうするんだろう。
リアンちゃんもすでに3歳で、元気いっぱい。
でんぐり返りもすごく器用にこなし、ピータローにも小猿のようにタックルして、きゃーきゃー大騒ぎしていた。
子供にオモチャにされがちなピータロー(笑)
もうひとり遊びに来ていた友人エイミー(仮名)は、テレビのドキュメンタリー番組を作っているのだが、こちらも独身。
エイミーも近々養子を取る予定。
ちなみに彼女はジューイッシュだが、養子はブラックの赤ちゃんになるらしい。
アンジェリーナ・ジョリーの例を見ればわかるように、親子で人種が違う養子というのは、アメリカではめずらしくない。
アメリカで養子を取りたい家庭の多くが、白人家庭やシングル女性。
これは日本と同じように、キャリアを追求する女性は結婚年齢が高めなので、妊娠しにくいケースが発生しやすいから。
そのため白人の赤ちゃんは非常に不足していて、ブラックの赤ちゃんのほうがずっと養子にしやすいのだ。
エイミーはまったく肌の色にはこだわらないたち。
「そりゃコロラドに住んでいたら、目立つかもしれないけど、なんたってニューヨークだもの。だれも気にすらしないわよ。ノーバディズ・ビジネスよね」
エイミーが養子を取ることにしたのは、子供が好きで欲しいにもかかわらず、子供ができなかったため。
「1年半くらい子供を作ろうとしたんだけど、だめだったのよねー」
そういったエイミーに、
「子供を作ろうとしたって、男と寝てまわったとか?」
と、すかさずちゃかすピータロー(おいおい)
「あはははは、そうしたかったんだけどねー。精子バンクで、精子を手にいれて、人口受精にトライしたのよー」
えーッ、精子バンク!
話には聴いていたけど、こうやって夕食の話題に出てくると、SF映画みたいでおもしろい。
エイミーの話によると精子バンクの精子は、1000ドルくらいするそう。
「あんなものタダじゃないか、1000ドルも取るなんて!」
と憤るピータロー。
「精子そのものじゃなくて、冷凍保存とかクリーニングに費用がかかるのよ」
「クリーニング? 精子をどうクリーニングするのさ?」
「さあ、イキのいい精子だけよりすぐるんじゃないかしら」
とはいえ、ドナー卵子は8000ドルくらいするから、やはり精子ってのは安いんですね(笑)
日本の養子縁組はかなり条件がふくざつだけれど、アメリカでは「親の必要な子供に、親を縁組みする」という考え方であるため、シングルでも養子縁組ができる。
おかげでゲイのカップルのひとりが養子縁組をして、実質的にはふたりで子育てするということもできるのだ。
エイミーはシングルのキャリア派だけど、子供好きなので、とてもいいお母さんになりそう。
クリスを見ていても感じるけれど、親子は血のつながりではなくて、愛して世話をするところから愛情が生まれるんだろうなと思う。
帰りがけに、リアンちゃんがピーターに手をふって、
「グッドバイ、ピーター・パン」
といっていたのが、かわいかった(笑)