コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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トランプの参謀バノンはオルタナ右翼。オバマ広島訪問を「吐き気がする」と糾弾していた!

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大揺れに揺れているアメリカ。
トランプがホワイトハウスの首席戦略官 /上級顧問として、選挙キャンペーンを指揮してきたスティーブ・バノンを登用することで大騒ぎになっています。

NYの地下鉄の駅で気持ちをポストイットに書いてシェアする「サブウェイ・セラピー」はたいへんな数に。もはや9.11の後のよう。


なぜかというと、スティーブ・バノンという人物が、とんでもない人種差別主義で、女性蔑視思想のサイトを運営していたから。
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バノンはかつてゴールドマン・サックスで働いていた過去があり、ブライトバート(Breitbart News)というメディアを、創設者のアンドリュー・ブライトバートが急逝後に、 CEO として運営。

そしてトランプの選挙キャンペーンの戦略家として雇われ、選挙を勝利に導いた参謀。トランプの懐刀ともいいますね。

で、このブライトバートの思想背景が「 The Alt-Right 」(ジ・オルト・ライト)といわれるもの。

これはオルタナティブ・ライトの略で、ナチスの哲学を踏襲した白人至上主義であり、反フェミニズム、反同性愛、地球温暖化は中国人が作ったウソ説を唱え、マルチカルチャーではなく、西欧キリスト教文化が絶対であるという立場。

おかげでバノン起用の報に、あの人種差別主義団体 KKK のリーダーが大絶賛。
また南部連合団体のリーダーもトランプを賛美して、「有色人種とユダヤ人には一切の容赦をかけない」と発言したんですよ。

ブライトバートなんて今まで見ないから知らなかったけれど、見てみたら、いや、ほんとにとんでもない

まず「黒人虐殺」にシンパを示したことがある。

2015年サウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で、白人青年が銃を乱射して9人の牧師や子どもを含む会衆を殺した事件がありました。
逮捕された青年は、白人至上主義者で「人種間戦争を起こすために」殺害したと告白。
多くの犠牲を出したヘイトクライムに、全米が戦慄。

その2週間後に「南部の輝かしい歴史がある連合軍の旗を街のあらゆる場で掲げよう」と呼びかけたのがブライトバート。

連合軍の旗とは、南北戦争の南軍をあらわす旗のこと。
この旗には南部人としての誇りを表す意味もあるけれど、いっぽう奴隷制度を存続しようとした白人至上主義者たちのシンボルともなっています。
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いわば大日本帝国時代の日章旗のようなもの。

たんに南部の誇りとしてなら問題ありませんが、虐殺のあとでは問題がある。

連合軍の旗をあげた一部の市民たちに対して、さすがに共和党のミット・ロムニーも不快さを表して、
「こんな時に連合軍の旗をあげるべきじゃない。
犠牲者に対して失礼だ」
と旗を下ろすように発言。

そしてオルタナ右翼がもっとも舌鋒鋭いのが反イスラム

イスラム移民の流入はヨーロッパのように「白人女性たちをレイプしたり、攻撃したりする犯罪を生む」「イスラムの侵略を許すな」「米国内のイスラム教徒の人口が倍増している」と批判して、ヒラリーのことをイスラム過激派である「ムスリム同胞団の手先」とまで罵る始末。

……手先って!?????(驚愕)

またバノンは反ユダヤ主義(Anti-Semitic)といわれていて、前妻から家庭内暴力で訴えられたときに、娘の学校選びで、ユダヤ人が多いところを止めさせた、ユダヤ人が嫌いだと発言したと前妻に証言されています。

ただし本人はこの発言を否定しており、またブライトバートじたいはアンドリュー・ブライトバートが設立した時から「親イスラエル」を標榜。

保守キリスト教を基盤としている旧来の右翼は、反ユダヤ主義であることが多いのですが、オルタナ右翼は反イスラムの砦として、イスラエルを支持するという考えらしい。

親イスラエルという路線が、旧来の右翼とは違う「オルタナティブ」であるのかもしれないですね。

アメリカでもリベラルなメディアはパレスチナに同情を示したり、イスラエルの強硬政策に疑問を投げかけるところが多いのですが、オルタナ右翼はそれを「アメリカを弱くする」と批判。

またハフィントンポストでは、バノンが「アジア系のCEOが多すぎる」と示唆したことを書いています。

シリコンバレーの会社でアジア系のCEO が多いことについて、
3分の1とか4分の3ものCEOが南アジア(インドやパキスタン)やアジアからの移民となると……。国家というのは、経済より以上のものだ。公民の国なのだから」とバノンは発言。

アジア系がシリコンバレーでのさばるのが嫌なんでしょうね、きっと。

そして「産児制限」には反対の立場で、人口妊娠中絶には断固反対。

これまた宗教観というより「イスラムどもは産児制限しない。アメリカ人が増えなかったら、彼らの侵略に対抗できない」という論法のよう。

アメリカではラテン系移民が子どもをたくさん産むおかげで、若年層の人口減少になっていないのですが、彼らにしたら白人層が積極的に子作りしなかったら、自分たちのほうがマイノリティになってしまう。

なので、絶対に堕胎には反対。
ここらへんでもう「産児制限」を推進してきて、「女性の体は女性が選択するもの」というヒラリーは悪魔の手先あつかいであるわけです。
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さらに経口避妊薬のピルまで攻撃する。

バース・コントロールは女性を魅力的でなくしてクレイジーにする
という記事では、ピルを摂取すると「肥って」「声がセクシーでなくなり」「間違った相手を選びやすくなる」として反対。
バカか?

フェミニズムには徹底的に反対していて、「フェミニズムは女性を醜くするか?
という、とんでも記事まである。

バノン自身は、
「この国をリードするのは、を持ち、子どもを愛している家族主義である女性だ。
ニューイングランドの女子大出のダイク(レズのタチ)どもであってはならない。
それが左翼の頭をいかれさせているのだ」
と発言しており、サラ・ペイリンを讃える映画を作っているのです。
あり得ない!
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そんなこといっておいてバノン自身、すでに3回ほど離婚経験があるらしい。

これも前々からふしぎなんだけど、「家族主義」を唱えるウヨ政治家や思想家って、ほんと不倫したり、離婚したりしますよね。

ちなみにバノンは映画監督として、「オキュパイ・ウォールストリート」運動を批判する「Occupy Unmasked」という映画も撮っていて、もうスキなく、漏れなく、全方位的にウヨ

さらにゲイの人権にも反対

ゲイの人権が、われわれを愚かにした。再びクローゼットに押し込める時期だ」というブライトバートの記事。

ちなみにこの記事の筆者はゲイの男性です。
奇妙なことに、ゲイの男性がゲイの人権を否定して、ゲイの男性は50年代のように結婚して子どもの再生産に努め、こっそり隠れゲイすべきだと主張。

大まかにいって頭おかしいですね。

保守的キリスト教層であれば、同性愛は聖書で禁じられているからいけないものだといってきたもの。
でもオルタナ右翼では再生産に結びつかないから同性愛はよくないといっているみたいですね。

旧来の右翼のように保守キリスト教を基盤にするというより、バノンらは「アメリカを白人主導で最強国とする」一派であるもよう。

そして日本に係わるところでは、オバマ大統領が広島を訪れたことを糾弾。
バノンは「なぜ真珠湾に行って、そこに埋葬された死者たちに謝らないのだ?」と憤慨しています。

原文はブライトバートでどうぞ。

ざっくり和訳します。

ーーーーーーーーーー

「自分には日本人のビジネスパートナーがいた。ゴールドマン・サックスを辞めたあとに日商岩井は私のマーチャント・バンクに融資したパートナーだったし、日本にいたこともあるし、日本に多くの友人もいるし、朝鮮戦争の時は海軍将校として日本の海軍と共にしたこともあるし、日本人には高い敬意を払っている
だが第二次大戦中、日本は悪魔だったのだ。いいか?
我々が彼らを倒すことができたのは、核兵器を使ったからだ。

諸君の祖父母や父母が日本に上陸した100万の米兵だったかもしれない、聴衆のひとりずつにいいたい。
我々は3年間も計画して100万人の米兵を日本上陸させ、戦死者は500万人になるだろうと見積もっていたのだ。このことを思い出さなくてはならない。6ヶ月も爆弾で攻撃したあと、2発の原爆によって、米軍による臨時政府を日本の膝元に持ち込むことができたのだ。2発の原爆だ。
メモリアル(戦没将兵追悼記念日)ウィークエンドだというのに、オバマはかの地に行っている。

なぜオバマはサイパンやペリュリュー、タラワやガタルカナル、コーラルシー(珊瑚海)やミッドウェイやウェーク島に行かないのだ?
いや、もっといいアイデアがある。
なぜ大統領専用機で、いま全世界の面前で大統領にレクチャーをしている日本の首相を連れて、真珠湾におもむかないのだ?
なぜ真珠湾に行き、戦艦アリゾナと共に今も眠る死者たちに頭をたれて、謝らないのだ?
日本の首相はいちども謝りに来たことがない。彼らはすぐに来るべきだ。なぜ日本の首相を連れて来て謝罪させないのだ。

オバマには吐き気を催す。
トランプ支持者よ、絶対にあんなところには行くな。このことを、しっかりわかって欲しい。
なぜならこれこそが我々がたちむかっていることなのだ。
これこそがヒラリー・クリントンと民主党が表していることなのだ。
名誉をズタズタに傷つけるな。
今日こそ叫ばなくてはならない、トランプ支持者たちよ、こう叫ぼう。
「ああ、憲法! 憲法はどうなるのだ!」と。
オバマがなにをやっているかを見てみろ。

大統領には今すぐエアフォース1で真珠湾に行ってもらいたい。
戦艦アリゾナとキッド少将がいまだに眠る地で、900人もの戦没者が75年間も眠る地で、そのアリゾナ記念館に対座してみよ。
広島に行くなんぞという厚顔無恥なことをする代わりに」
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オバマ大統領が被爆者の方の肩を抱く写真は大きく報道されましたが、その頃アメリカではトランプ支持者たちが「そんなことしたら、まるでアメリカが悪いことをしたようじゃないか」と怒っていたわけです。

わたしはオバマ大統領の広島訪問はヒューマニティにとっては大きな一歩だと感動しましたが、アメリカの右翼にしたら、広島を訪れることじたいが「自虐史観」となるらしい。

うーん、なんというかネトウヨってどこの国でも同じ発想の仕方なんですね。

なので、トランプが大統領に就任中は、広島と長崎への訪問は絶対にないはず。
逆に日本の首相が真珠湾に呼びつけられることになりそうです。

トランプ自身はテレビですでに「同性婚を禁止するつもりはない」、ヘイトクライムを遺憾に思っていて「すぐに止めろ」と口にしたので、そこはウソつかずにやって欲しいです。

けれどもバノンの起用に、KKKたちが「オレたちの時代が来た!」と勝手に喜んでいて、さっそくヘイト発言が表に出てきている。

ウエストバージニア州の小さな郡では女性職員が、

「クラスがあって、美しくて、品格のあるメラニアをホワイトハウスに迎えて、リフレッシュするわ。
あのハイヒールを履いた類人猿には飽き飽きしていたから」

ミシェル・オバマ夫人をバカにするポストをフェイスブックにあげて、炎上する羽目に。

すぐにその女性職員は解雇されましたが、ようは「口に出してもいい空気」が出ると、すぐに差別発言は増長する。

さらにブラック層にしたら、もはや命にかかわる問題。
全米でしばしば起きている警官によるブラックの射殺事件、それも犯罪者ではないのに、抵抗していないのに射殺されたというケースが何度もあり、この「疑わしき黒人は射殺」することが増えていくはず。

ISISのテロよりも自分の国の警官に殺される確率のほうが高いって恐ろしすぎる。

バノンはKKKのようなバカではないから、白人優先席を作るといったようなアホなことはしないはず。

米軍にいる有色人種の数を考えたら、国が弱体化することはできない。

たとえ彼が内心白人男性バンザイ! アジア系のさばるな、フェミ死ねと思っていても、そのままを反映させないはず。

まずアメリカの国益を第一に、イスラムを敵視して移民させず、人口妊娠中絶を禁止する州が増え、アファーマティブアクション(貧困層や女性への優遇措置)がなくなってストップ&フリスク(疑わしい人物は警官が止めて身体検査をしてもよいという停止検査権)を行う州が増えて、そして国内イスラム教徒を登録させて監視できるデータベースを作ろうとするのでは。

イスラム教徒だけ登録させることになったりしたら人権侵害もはなはだしい。

そして中東での紛争が激化するのは確実で、世界がさらに破壊されてしまう。

NY市長のデ・ブラジオは、トランプとの会見後、NY市警には900人のイスラム教徒がいて市民の安全を守っていること、イスラム教徒の登録を進めるのは同意できないこと、またストップ&フリスクは市民と警察の関係を悪くしてしまうので、行うつもりはないと表明。

毅然として人権を守る発言をしてくれる市長がいてくれるのは、ありがたい。


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by erizo_1 | 2016-11-20 08:35 | 社会の時間