グレン・クローズの怪演がトラウマ・レベルにすごい、舞台「サンセットブルバード」
2017年 06月 08日
1994年に同じくグレン・クローズ主演で上演された時は、この役でトニー賞を獲得したグレン。
元ネタは「サンセット大通り」という映画で、これをアンドリュー・ロイド・ウエーバーの音楽で舞台化したもの。
主人公は、売れない脚本家のジョー・ギリス。
彼が偶然迷いこんだのが、サンセットブルバードにある往年の大女優ノーマ・デズモンドの屋敷。
かつての大スターだったノーマは、執事のマックスに仕えられながら、ひっそりと暮らしています。
そしてノーマがカムバックするための映画の台本「サロメ」を執筆するという依頼を受けて屋敷に住むことに。
で、このノーマが、ものすごい怪物キャラ。
とっくに世間から忘れられている存在なのに、「あてくしは女優よ!」といまだに大スター気分で生きている。
気分だけは絶世の美女のままで生きている老人なのです。
そしてノーマの演技にほだされて、ジョーは情人になってしまうのですねー。
かつて大スターだった女優が、過去の栄光にすがって生きる、その妄執が恐ろしいという話です。
オリジナルの映画では、グロリア・スワンソンが演じて、最後の有名な「監督、クローズアップの用意はよくってよ」のシーンがこれ。
うわーん、お母さん、こわいよう!
それをやるのが、グレンですよ!
「危険な情事」「危険な関係」と、悪女を演じさせたら、右に出る者がいない名女優、グレン・クローズ。
わたしはグレンが侯爵夫人を演じた「危険な関係」が大好き!
いやもう映画史に残る、悪女っぷり、そして最後の落涙がなんともいえなかったですねー。
ちなみに調べていて驚いたのが、グレン・クローズがアカデミー賞に6回もノミネートされながら、受賞していないこと。
えええ、納得いかない!
なんでグウィネス・パルトローが受賞していて、グレンさまが受賞していないんだよー!
劇場は当然、観客だってグレン・クローズ目当てで観に来ています。
グレンの登場シーンだけで、お客さんが拍手!
うおお、まるで「放浪記」の舞台に森光子が出てきた瞬間のようです!
いよいよ歌い出すグレンさま。
……あれ?
………こ、これは……。
ヘタ?
いや、これが「気が狂った老人」を演じているためにわざとヘタに歌っているのかもしれないけれど声も出ないし、音程も外すし、声質もよくない。
歌手でないので声がよくないのは致し方ないですが、他のキャストはうまいです。さすがブロードウェイ。
ところが芝居となると、さすがグレン。
うまい、うまいよ、うますぎるよ!
ひとことでいえば、すごく気持ち悪い!
いや、「気持ち悪い」というのがホメ言葉になるのか、という疑問はあると思うんですが、この「サンセットブルバード」に限っては、賞賛になる!
圧巻は最後の10分間。
「カメラ、アクション!」の有名なシーンです。恍惚としたグレンが階段を降りてきて、
「監督、クローズアップの用意はよくってよ」
そして朗々と歌い上げるラスト。
ひいいいい!
怖いよおおおおおおお。
もはや早稲田小劇場の白石加代子の芝居を見ているよう。
ここはワセショーかよ!
もう狂気女優というか、怪演というか。
最後のカーテンコールでは、グレン・クローズにスタンディングオベーションで、会場は大拍手でした。
いやーーーーーー!
すごいわ! さすが大女優だわ!
最後の10分だけで「すごいものを観てしまった!」感を叩きだす、この演技力、存在感。
正直、最後の10分までは「見る価値あるか?」とも思っていたのですが最後に持っていかれました!
観客を「グレンさま、神!」と感服させて帰らせるのだから、すごいもんです。
いやー、キモかった、怖かった、面白かった!
6月25日まで期間限定の公演。
今のうちよ!
Sunset Boulevard
Palace Theatre
1564 7th Ave & W 47th Street, New York, NY 10036
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