NYは忘れない 第7回TOGETHER FOR 311東日本大震災追悼式典が開催
2018年 03月 07日
ニューヨークの教会で、3月4日第7回目となるTOGETHER FOR 311東日本大震災追悼式典が催されました。
東日本大震災の追悼式典として2012年から行われているもの。
主宰はフェローシップフォージャパン。東日本大震災の後にさまざまな支援活動がNYで繰り広げられた時につながったボランティア有志で、わたしも当初からスタッフとして関わっています。
第7回目となる今年は、440人の方に参列いただきました!
髙橋礼一郎ニューヨーク日本総領事の呼びかけで参列者は一分間の黙とうを。
代表であり司会のAK(柿原朱美)さんは「震災から7年が経ちましたが、まず忘れていないということを伝え続けたい」と語りました。
岩手県からは陸前高田市の NPO法人桜ライン311代表理事である岡本翔馬さんがビデオでメッセージを届けてくれました。
岡本さんは岩手県陸前高田市出身。
震災時には東京にいましたが、陸前高田市に戻った友人が消防団に入り、震災当日帰らぬ人となったことが今でも忘れられないと語ります。
そして「生きることに正面から向き合う」ために陸前高田に移り、2011年10月NPO法人桜ライン311を設立。
今後人命の失われることのない社会を目指し、市内の津波到達地点に桜の苗木を植樹しています。
参列者たちにも
「自分の大切な人が災害で失われる悲しみと、防げなかった後悔を思い浮かべ、この日を自然災害について備えがあるか考える日にして下さい」
と胸を打つメッセージを送ってくれました。
宮城県からは岩沼市出身で、現在はNYに住むイラストレーター 大友あかり “acary”さんがスピーチを行いました。
あかりさんは宮城大学への入学を控えた春休みに東日本大震災を体験。
震災後、「つねに残された時間を生きているということを意識するようになり、7年の間に、時間が限られているならやりたいことにやろうというポジティブな気持ちを持つようになった」といいます。
ニューヨークで活動する今も、常に故郷に想いを寄せてデザインをしているそう。
故郷を災害が起きる危険な場所というマイナスなイメージではなく、「そのような歴史から学んで来ていること、そして土地の持つ魅力を伝えていける活動をこれからも続けていきたい」と、将来の抱負を語ってくれました。
そして福島県からは福島ふたば未来学園の生徒11名が壇上に登り、代表として高校二年生の関根颯姫 (せきねさつき)さん(16歳)がスピーチ。その英訳を同じく高校二年生の遠藤瞭(えんどうりょう)さんが担当してくれました。
被災当時は9歳、小学校4年生だったという颯姫さん。
4ヶ月間東京近くで避難生活を送ることになったそうです。
ところが誤った情報流布のために、転校先の学校で「福島に帰れ」「汚い」といったイジメや暴力を受け、信頼していた友達にも裏切られ、一時は自殺すら考えたそう。
それでも「自分にはまだやるべきことがある、夢がある」という思いが彼女を支え、「みんなを笑顔にしたい」という夢を叶えたいと考えるようになったといいます。
そして夢を叶えるために、福島に帰郷した後は未来学園に入学、演劇部に入って、演劇コンクールで優秀賞を取るまで至りました。
「これからも人々を笑顔にしていきたい」と熱い夢を語ってくれました。
子どもたちは子どもたちの世界で、震災後の日々を必死にサバイバルしていたのだという思いに胸を打たれるとともに、新しい世代が語る言葉に、未来への希望も感じさせてくれました。
第一回目追悼式典からメッセージを送ってくれている福島県相馬市みなと保育園からは今年もビデオが届きました。
今回、歌を歌ってくれているのは、震災後に生まれた園児たち。
「元気に笑顔で過ごしていきます」
と歌を披露してくれました。
会場ではNYの日本語補習校に通う「風の環」少年少女合唱団は「さくらさくら」「翼を下さい」といった歌を元気に合唱。
式典会場のチャリティ販売コーナーでは、復興グッズが販売され、募金箱に集まった寄付金は領事館とジャパンソサエティを通じて被災地に送られます。
NY在住の邦人にとっては、日本はかけがえのない故郷。
あの震災を忘れていません、一緒に前に進んで行きましょうと伝え続けたいです。
photography: Lisa Kato, Masahiro Noguchi, Kiriko Shirobayashi