コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


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脱力顔の熱い男、シャイアに注目 「トランスフォーマー」

アメリカでは大ヒットとなった「トランスフォーマー」

まったく観る予定なかったんですけど、旦那ピタローの激しい要請により、つきあい鑑賞することに。

で、結果はどうかというと、うーーーーーん。

「よいロボットさんの住む惑星があったんだけど、そこを悪いロボットさんが破壊してしまったから、よいロボットさんと悪いロボットさんが地球で戦うことになったんだよ!」

みたいな設定にどうにもついていけないエリぞうなのであった。

なぜレミーの「しゃべるねずみさん」は受けいれられるのに、「生きているロボットさん」は受けいれられないのか、われながらふしぎ。

しかもヒロインが、なんだかイヤなオンナなんだよ。
女子から嫌われるタイプ。げー!

いっぽうピタローは鑑賞後に「おもしろかったなー」「すごいCGだったなー」「戦闘機がすごかったなー」と無邪気に喜んでいました。

やっぱりこれはガンダム好き、マジンガーZ好き、機関車トーマス好き、チョロQ好きの男子のハートがないと、楽しめないってことでしょう。

この映画の見どころの90%が、車がガシャガシャカキーン、うわあ、ロボットになったよ、と思ったら、ガシャガシャカキーン、うわあ、ジェット機にもなるよ、すごい、すごい、かっこいいぞ、というCGなので、その見せどころに「おお」と興奮しないかぎり、ほかに興奮しようがないわけだな。

すまん、おれには「のりものだいすき」な男児のハートはないよ。この映画を楽しむ資格がなかったよ、ごめんなさい。

悪いけど、この脚本では「わあわあ人間が騒いでいるうちにロボットが勝手に活躍してお終い」というふうに見えて、どうもおもしろさがわからない。

ちなみに映画のあとで、アメリカ人少年たちが「ちょーおもしれー」「ちょーかっきー」と興奮していたので、きっと小学生男子のハートがあれば、とっても楽しめる映画なんじゃないでしょうか。

さてそんなメカ音痴なわたしにとって、この映画の買いは主人公のシャイア・ラブーフくん。

このところめきめきと売り出し中のシャイアたん。
インディジョーンズ4にも抜擢されましたね。

なんでこんな桃屋の「ごはんですよ」みたいな顔した男子がインディジョーンズに? とふしぎだったんですが、映画を観たら、なるほど、納得。

このひと、すごくハリウッド映画のリーディングロールにむいているね。

なぜならば「登場人物のモチベーションを、観客に納得させるだけのインテンスなエナジーがある」から。

これは演技力とはちょっとちがう問題で、たとえばダスティン・ホフマンなり、ジェフリー・ラッシュなり、ジェレミー・アイアンズなりといった名優たちみたいに、「ある人物を内側から生きる」ことができる才能のことじゃないです。

そうではなくて、主人公を観客が応援してやりたくなる気持ちにさせる、そのパワーのこと。

ハリウッド・エンタメというのは、大まかにいえば「主人公がひょんなことから事件に巻きこまれて、いやおうなく逃げる、知恵をしぼる、反撃する、闘う、相手を倒す」というのが基礎構造じゃないですか。

で、このときに主人公が「ま、どっちでもいいけどー」とか「死んでもいいしー」みたいな活力のないタイプだと、話が十分くらいで終わっちゃうから困るわけだな。

そこで観客をひっぱる牽引力というのがリーディングロールには求められるわけですが、シャイアくんにはこの馬力があるんだね。

なんかこう、セールスマンになっても成功しそうというか、こっちがドアを閉めようとしても、すばやく片足を突っ込んで「一分だけ下さい」と強引に画面を観させる勢いがある。

「こいつなら危機を切りぬけるパワーがありそう」「よっしゃ、こいつに賭けてみるかね」
と、観客の心情を賭けさせる力があるわけです。

ちなみに彼のバックグランドはというと、たいへん貧しい家庭だったようで、お父さんが一時期ドラッグ・ディーラーだったらしいです。

でもって子どものときからカーニバルなどで、クラウン役をやるバイトをやって小遣いを稼いでいたらしい。

「ぼくの育った環境でドラッグをやったことがないなんていったら、嘘八百になるけれど、ぼくはそういったものに溺れるほどやわではない」

というようなことをコメントしていて、なるほどねえ、と感心した次第。

つまり彼は子どもの頃から人生のハードな面を見てきたタイプで、おとなになるのも早かったんでしょう。

そのせいか「人生は他人に頼らず、自分で切りひらなくちゃどうにもならない」的な腹の据わりかたが感じられるんですよね。

で、たぶんバツグンに頭がいいはず。
実際にシャイアくんはイエール大学に受かっているものの、仕事のために進学をしていないらしい。

頭がよさそうっていうのは、そうだな、例をあげればジョージ・クルーニーとかウィル・スミスとか、インタビューのやりとりを見ていると、
「あ、このひと、マジで頭が切れるわ」
とわかるじゃないですか。

俳優としてどうこうじゃなくって、ふつうにそこらにいても、こりゃ頭の回転がいい人間だろうな、とわかる。なんの仕事についても成功していそうなタイプ。

で、このシャイアくんもあきらかに頭がいい。
たぶんセリフもかなりの部分をアドリブとかアレンジしているんじゃなかろうか。そうでなければ、ああは機関銃のようには喋れないでしょう。

一見、脱力顔。
なのに、できるやつ、シャイア・ラブーフくん。

ハリウッドをサバイバルしてビッグになる器とみた。
ぜひスターになりあがり、そして「ごはんですよ」新キャラとしても君臨して欲しいッス、よろしく!

メカ脳の楽しめる度   ★★★★★
メカ音痴の楽しめる度  ★
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by erizo_1 | 2007-08-06 23:34 | エンタメの殿堂