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コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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パパンとアルバムの巻

病室にはパパンのアルバムがある。
お年寄りはむかしのことはしっかり覚えているというので、アルバムを作って持っていったのだ。

それが看護師さんにとってもなかなか興味をそそるらしく、何人かの看護師さんがアルバムを見てくれた。

当然ピータローの写真も入っているので、
「旦那さん? すごいワイルドだね」
とか、
「旦那さん、芸能人みたいね」(←ビリー隊長のことか?)
というコメントをもらっている(笑)
やはりハゲのブラックは、日本社会的には相当にインパクトが強いのでしょう(笑)

元気だった頃のパパンの写真を観て、看護師さんが驚いたように、

「え、これ、黒部さん? ふーん、黒部さんに見えないねえ」

とコメントを。
あれ、そうなのか。わたしの目には同じパパンなのだが、入院して以来入れ歯をはずしているので、くしゃおじさんみたいな顔になっているのだ、

でも写真のなかでは、パパンはシャキシャキしたお年寄り。
つい2年前までは海外旅行もしていたほど、元気なお年寄りだったのだ。

家族にとってパパンはパパンだけど、看護師さんにとっては新しく来た患者さんなんだよね。

病状や過去の病名はわかっていても、そのひとが誰なのかなんてことは知らない。
でもみんな、それまで人生のあったひとたちなのだ。
パパンだって一年前まではシャキッとしていて、決してこれほど弱くて、痛々しいお年寄りだったわけじゃない。

入院した当初パパンは、看護師さんにも
「グーテンターク」
とドイツ語を披露していたらしい(笑)

同じフロアにはたくさんお年寄りが入院しているんだけど、みんなそれぞれ何十年もの過去があったのだろう。

パパンにはこれまで生きてきた人生があり、ちゃんと過去があったのだと伝わるのは嬉しい。

親切にしてくださっている看護師さんたちには、どんなに頭をさげても充分ではないと感じてしまう。
ありがとうございます。
by erizo_1 | 2007-11-27 02:04 | ライフのツボ