コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


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オスカー賞 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」に全国のワンマン社長が号泣?

友だちのうちでオスカー・トトカルチョ。
おいしいお鮨をいただきながら、オスカーの予想戦に挑みました!

7人のうち映画会社勤務もいれば、映画ケーブルテレビ会社勤務もいるという強者ぞろいのメンツ。

エリぞうは12個正解。
残念ながら、負けてしまいました。くー!

えーと、今回わたしが観ていたものは、こんなところだす。

「ノーカントリー」(勝手な邦題:老いぼれには用がない)
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(勝手な邦題:血の雨が降るぜ)
「潜水服は蝶の夢を見る」
「つぐない」
「ジュノ」
「イントゥ・ザ・ワイルド」
「エリザベス ゴールデンエイジ」
「トランスフォーマー」
「ボーン・アルティメイタム」
「レミーのおいしいレストラン」
「パイレーツ・オブ・カリビアン」

しかし「No Country for Old Men」の邦題が「ノーカントリー」っていうのは意味不明ですね。

監督賞、作品賞、主演男優賞、助演男優賞のあたりは全員予想通り。
当然取るでしょう、コーエン兄弟。

それにしても今回のノミネート作品は(マイケル・クレイトンは観ていないので)「ノーカントリー」といい、「ゼア・ウィル・ビー」といい、「つぐない」といい、登場人物たちに共感できない作品が並んだところがすごい。

「つぐない」は悲劇であるけれど、さすが文豪イアン・マキューアン先生の作品だけあって、むしろ不条理に近いしなあ。

なかでもぶっちぎりにダニエル・デイ=ルイスが演じた石油王はすごかった。
ダニエル・デイ=ルイス、天才すぎ!
あの塩辛声や立ちふるまいかた、もう人格からそっくり入れ替わっているんだから、神業の域です。

まあ、日本の設定であれば、
「九州ボタ山から石炭王にのしあがる男の半世紀、主演:緒方拳」
みたいな物語だと思うんですけど、その手の映画につきものの、男の友情や暴力団との抗争や女優とのエロシーンは一切なし。

ひたすらダニエルの成功への激情ほとばしりまくり。2時間半すべて激情。
欲望も憎悪も愛情も激しい人物なので、シェイクスピア劇の主人公みたいなキャラなんですよ。
マクベスとかリチャード3世を彷彿とさせるタイプ。

悪役ながらも、ある層にとってはとてもアピールしそう。

「ゼア・ウィル・ビー」を観たあと、わたしはいっしょに行った部長にこういったのでした。

「お宅の社長とかさー。あの主人公に共感しそうだよねー」
「もう共感ばりばりするよー。金の亡者だもん」

みなさんのまわりにもいませんか?
「叩き上げのワンマン、強引で強欲で、社員はふりまわされているが文句をいえない」みたいな社長。
やっていることはどう考えても「搾取」なんだけど、「世のためになる事業をやっている」と堂々という社長。

わたしはアカデミー会員よりも、そういう叩き上げ社長、あるいは30代ベンチャー社長に「ゼア・ウィル・ビー」を観てもらって、感想を聞いてみたいですね。そしたらきっと、

「感動した。やっぱり金儲けには信念が必要だと勇気づけられた」
「主人公の強さに共感。他人を信用してはいけないのだ、と教えられました」
「他人が失敗するのを見て喜ぶ心がけが大切ですよね。号泣です」

とかって、ものすごくポジティブなメッセージを受けとるんじゃないかって気がするぞ。

日本公開のときは、「あのホリエモンも、ドナルド・トランプも号泣!」みたいなキャッチコピーがいいんじゃないでしょうか(うそ)
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by erizo_1 | 2008-02-26 14:12 | エンタメの殿堂