コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


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パトリック・スチュワートのマクベス

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パトリック・スチュワート主演の「マクベス」
ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック(BAM)での楽日に行ってきました。

友だちのアキームたんのおかげでとても良い席をゲット。
すぐ間近でパトリック先生のご尊顔を拝見!
NYに住んでいてよかったなー! と思うのは、こういう瞬間ですなー。

パトリック・スチュワートといえば、そうです! 「スタートレック」のパッカード船長、もしくは「Xメン」のイグザヴィエ。

てことは、もしや「宇宙船が舞台?」「オオカミみたいな人が出てくるマクベス?」とプチ期待したんですが、ま、そんなわけがないわな。

舞台の設定は、スターリン時代のソ連邦がイメージ・ソースのよう。
白いタイル張りの病室もしくはキッチンのようなセッティング。

幕開けはいきなり病院で、負傷した兵士たちがかつぎこまれるシーンから始まります。
でもって全編ゴシック・ホラー!

だってさー。三人の魔女が、マスクをした看護婦なのよー。
それも目のまわりが黒々としたゴスメイクで、ひとりはめがねッ子なのよー。

汚れた白いタイルの壁、メスを持った看護婦、血糊どばどば、むき出しのシンク、軍服、革のブーツ、鉄の引き戸がついた昇降機、惨殺シーンなどなど。

「ホラー映画萌え」要素がいっぱい。
音楽がゴスメタルでないのが、ふしぎなくらいだわー。

たしかに斬新であり、こういう演出法があったのか、と驚かされること請け合い。
過去に観たことある「マクベス」と引き比べて、あの場面を、こういうふうに演じることができるんだ、というのに感心しました。

ただし肝心の芝居のほうがおもしろいのかといえば、うーーーむ。
……悩む。

あまりに奇をてらった演出のほうに気を取られて、なんだか映画を観ているような距離感というんですかね。芝居にしかない、役者と観客の一体感というのがあまり感じられないところが残念。

わたしはむかしパトリック・スチュワートの「テンペスト」をマンハッタンで観たことがあるんですが、あのときのほうがずっとパトリック先生に感動したなあ。

しかしながら「スター・トレック」大ファンのピータローは激しく感動したらしく、カーテンコールでは真っ先に立ってバシバシとスタンディング・オベーションを。

「パトリック・スチュワートのサインもらえないかなー」
とわくわくしていたピータロー。

こらこら、これは「スタトレ」じゃないんだって!

舞台としては大成功で、ニューヨークのメディアでは非常に高い評価がついています。
ブロードウェイのライセウム・シアターにて、8週間の上演が決定したそうでーす!

ところですごーく基本的なことで恐縮なんですが、わたしはずっと「クベス」と頭にアクセントをおいて発音していたんですよ。

しかし英語だと、「マクス」なんですね。
芝居を観て、初めて気づきました。いや、考えてみれば当然なんだけど、とんと気づかなかったですわ。

スコットランドやアイルランドの名字には、よくMacもしくはMcという接頭辞がつきますが、このMacじたいは、もともと「〜の息子」ちゅう意味らしい。

「マクドナルド」といったら、ドナルドの息子、つまりドナルドさんちの家系ということなんでしょうね。英語だと、マクダーナルドだもんね。

で、Macbethもスコットランドの貴族だけあって、この接頭辞のついた名字だったんだなー、と初めて腑に落ちました。

ちなみに欧米の演劇関係者は、わざわいを呼ばないように「マクベス」と口にするのがタブーで、
「スコットランドのあの芝居」
というのが慣例らしいですぜ。

日本では四谷怪談を舞台や映画にするとき、お参りをするのが慣例みたいですが、あれと同じですかね?

てことで、いまNYで話題の舞台。この時期ブロードウェイに行けるひとは「スコットランドのあの芝居」にレッツらゴー!
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by erizo_1 | 2008-03-25 13:49 | エンタメの殿堂