コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

<   2017年 06月 ( 4 )   > この月の画像一覧

メトロポリタン美術館で話題を集めているのが、「川久保玲/コム・デ・ギャルソン 」展
c0050387_14375841.jpg


1980年代に「モードの破壊者」としてパリを震撼させた川久保玲。
世界のファッションを揺り動かしたアヴァンギャルドな服が展示されています。

ひとりのデザイナーの回顧展覧会とは、たいへんな名誉です。
c0050387_14311368.jpg

展示内容は「アート・オブ・ザ・イン・ビトウィーン」という副題にふさわしく、哲学的な問いかけに区分されて展示されています。

たとえば「Absence/Presence」(不在/存在 ないこと/あること)
ほほう。なんか哲学ちっく。
禅問答の公案のようです。

「Design/ Not Design」(デザイン/非デザイン)
「Good Taste/Bad Taste」(いい趣味/悪趣味)
などなどの対比に沿って展示され、Cloth/Not Cloth (服/非服)のコーナーでは、
美しさ/グロテスク
「生命/喪失」
「事実/フィクション」
「規律/カオス」
といったように、わかりやすい対比をされています。
c0050387_13511733.jpg

先ほど禅問答と書きましたが、おそらく西欧のモード界から見て、こういう禅的な部分が東洋の神秘であり、魅力に映るんでしょうね。

なんにも考えずに見ていくと、変わった服ばかりで何をみていいか迷うかもしれませんが、問いかけをたどりながら観ていると、非常に興味深いはず。
c0050387_14321399.jpg

これって服なの?」
「服ってなんなの?」

という問いかけることこそ、ギャルソンが提案しているものでしょう。

よくこれだけの発想が生まれてくるし、またそれを実際の形にできるパタンナーと、高い縫製技術があるものだと感心します。

そしてヘアもアヴァンギャルド!
c0050387_14382935.jpg

とんがりコーン
c0050387_13572154.jpg

アフロのリーゼント

実際にあの重い服を着てランウェイを歩いたモデルさんたちもすごい。
c0050387_14323250.jpg

もはや戦国武将の鎧を着ているとか、着ぐるみ着て歩いているようなものだろうねー。
c0050387_14325037.jpg

そういや前に見かけた「どーもくん」の着ぐるみのなかの人が、筋肉ムキムキのブラックのお兄さんで、その落差にたまげたことがありましたが、細い華奢なモデルにとったら、あの重い服はたいへんでしょうね。

こちらにあるのが、メット・ガラでリアーナが着たドレス。
右からふたつめね。
c0050387_14242030.jpg

リアーナさまの着こなし図。
c0050387_14385971.jpg

……うーん。あまり似合っていない
なんかリアーナが着ると肉感的すぎてギャルソンっぽく見えない気が……。

これがもし草間彌生が来ていたら、なんだか似合う気がするんですよね。
やはりギャルソンは着る人を選びますなー。

ついでにこちらが同じくメット・ガラでギャルソンを着たキャロライン・ケネディさんの図。
c0050387_14255587.jpg

……え?

……キャロ……ライン……さ……。
しーーーん。

……キャロラインさん、いい人ですよね。
日本贔屓で、オバマ大統領広島訪問にも大きな力になってくれたしね。

そう、だからみんなで観なかったことにしましょう!
いまご覧になった画像は脳内でデリートして下さい。

今回の展示は不満をいえば「これだけ?」という規模の小さいところで、もう少し色々と映像なども入れて、多角的に展示してくれて欲しかったところです。

アレキサンダー・マックイーン展の時は外に行列ができていて、1〜2時間待った覚えがありますが、コム・デ・ギャルソンのほうは、ほとんど待たずに入れます。
c0050387_14392399.jpg

意外と充実していたのが、ショップ販売のほうで、ギャルソンのTシャツなども販売。
あと今回の展覧会だけの限定Tシャツもあるので、お見逃しなく!

NYに来られないみなさんもメットのサイトでご覧いただけます!

The Metropolitan Museum of Art
住所:1000 5th Ave, New York, NY 10028

Rei Kawakubo / Comme de Garcons
Art of the in-Between
2017年9月4日まで開催中
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

クリックご協力ありがとうございます。

下の↓アメリカ情報バナーをポチッ!とクリックしていただけると、励みになって嬉しいです。
ご厚意ありがとうございます!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ情報へ
にほんブログ村
[PR]
by erizo_1 | 2017-06-16 14:52 | カルチャーの夕べ
ブロードウェイで「サンセットブルバード」が上演中です。
c0050387_13482163.jpg

1994年に同じくグレン・クローズ主演で上演された時は、この役でトニー賞を獲得したグレン。

元ネタは「サンセット大通り」という映画で、これをアンドリュー・ロイド・ウエーバーの音楽で舞台化したもの。

主人公は、売れない脚本家のジョー・ギリス。
彼が偶然迷いこんだのが、サンセットブルバードにある往年の大女優ノーマ・デズモンドの屋敷。

かつての大スターだったノーマは、執事のマックスに仕えられながら、ひっそりと暮らしています。

そしてノーマがカムバックするための映画の台本「サロメ」を執筆するという依頼を受けて屋敷に住むことに。

で、このノーマが、ものすごい怪物キャラ
とっくに世間から忘れられている存在なのに、「あてくしは女優よ!」といまだに大スター気分で生きている。
気分だけは絶世の美女のままで生きている老人なのです。

そしてノーマの演技にほだされて、ジョーは情人になってしまうのですねー。
c0050387_1349153.jpg

かつて大スターだった女優が、過去の栄光にすがって生きる、その妄執が恐ろしいという話です。

オリジナルの映画では、グロリア・スワンソンが演じて、最後の有名な「監督、クローズアップの用意はよくってよ」のシーンがこれ。
c0050387_13493619.png

うわーん、お母さん、こわいよう!

それをやるのが、グレンですよ!
危険な情事」「危険な関係」と、悪女を演じさせたら、右に出る者がいない名女優、グレン・クローズ。

わたしはグレンが侯爵夫人を演じた「危険な関係」が大好き!
いやもう映画史に残る、悪女っぷり、そして最後の落涙がなんともいえなかったですねー。
c0050387_13502384.jpg

ちなみに調べていて驚いたのが、グレン・クローズがアカデミー賞に6回もノミネートされながら、受賞していないこと。

えええ、納得いかない!
なんでグウィネス・パルトローが受賞していて、グレンさまが受賞していないんだよー! 

劇場は当然、観客だってグレン・クローズ目当てで観に来ています。

グレンの登場シーンだけで、お客さんが拍手!
うおお、まるで「放浪記」の舞台に森光子が出てきた瞬間のようです!
c0050387_13511818.jpg

いよいよ歌い出すグレンさま。
……あれ?

………こ、これは……。

ヘタ?
いや、これが「気が狂った老人」を演じているためにわざとヘタに歌っているのかもしれないけれど声も出ないし、音程も外すし、声質もよくない。

歌手でないので声がよくないのは致し方ないですが、他のキャストはうまいです。さすがブロードウェイ。

ところが芝居となると、さすがグレン。
うまい、うまいよ、うますぎるよ!

ひとことでいえば、すごく気持ち悪い!

いや、「気持ち悪い」というのがホメ言葉になるのか、という疑問はあると思うんですが、この「サンセットブルバード」に限っては、賞賛になる!

圧巻は最後の10分間。
「カメラ、アクション!」の有名なシーンです。恍惚としたグレンが階段を降りてきて、
c0050387_13514481.jpg

「監督、クローズアップの用意はよくってよ」

そして朗々と歌い上げるラスト。

ひいいいい!
怖いよおおおおおおお

もはや早稲田小劇場の白石加代子の芝居を見ているよう。
ここはワセショーかよ!

もう狂気女優というか、怪演というか。

最後のカーテンコールでは、グレン・クローズにスタンディングオベーションで、会場は大拍手でした。

いやーーーーーー!
すごいわ! さすが大女優だわ!
最後の10分だけで「すごいものを観てしまった!」感を叩きだす、この演技力、存在感。

正直、最後の10分までは「見る価値あるか?」とも思っていたのですが最後に持っていかれました!

観客を「グレンさま、神!」と感服させて帰らせるのだから、すごいもんです。

いやー、キモかった、怖かった、面白かった!

6月25日まで期間限定の公演。
今のうちよ!
c0050387_13521862.png


Sunset Boulevard

Palace Theatre
1564 7th Ave & W 47th Street, New York, NY 10036



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

クリックご協力ありがとうございます。

下の↓アメリカ情報バナーをポチッ!とクリックしていただけると、励みになって嬉しいです。
ご厚意ありがとうございます!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ情報へ
にほんブログ村
[PR]
by erizo_1 | 2017-06-08 13:58 | エンタメの殿堂
c0050387_13574541.jpg

ローガン」日本で公開中!
あのウルヴァリン主役の作品です。
これが激シブロードムービーなんですよ。

ウルヴァリンといえば不死身であったはずなのに、冒頭から、すっかり衰えた中年ぶりを見せるローガン。
しかもリムジンの運転手をやっているという落ちぶれた設定です。
c0050387_1421333.jpg

かつての最強ミュータントが、今ではかなり力をなくしているという悲しい状況。

さらに悲しいことに、プロフェッサーX がすっかり老いさらばえています。

パトリック・スチュワート自身の老いとあいまって、もはや演技なんだか、リアルなんだかわからない。
昭和の名俳優、宇野重吉の演技を見ているかのよう。
c0050387_13581563.jpg

そんなウルヴァリンが、託されたのがミュータントの少女ローラ。
今やミュータントが絶滅しかかっている世界で、ローラをカナダに亡命できる場所まで運ばなくてはならないことに。
敵と戦いながらの壮絶な逃避行、はたして彼らは逃げ切れるのか。
c0050387_13583470.jpg

で、この少女ミュータントを演じるダフネ・キーンがすごすぎる!
ほとんど野生動物
すごい子役がいるものです。

中年男と少女の逃避行といえば、ジャン・レノとナタリー・ポートマンの「レオン」が名作ですが、あの映画のマチルダと違って、ダフネ演じるローラは、ウルヴァリンより凶暴なくらい。
かわいいとか美少女とかってレベルじゃなくて、ケダモノ!
c0050387_13585839.jpg

もしこの子のシッターを頼まれたら「絶対にいやだ!」と即答できるくらいワイルドな子で、だけどそれを演技でやっているんだから、たいしたものだわ。

いっぽう彼女を守るローガンがなかなかにつらい。
ウルヴァリンが最強のミュータントというわけではなくなっていて、傷の癒えかたも遅くなっているわけです。目も血走っているし。

かつてはレベル5のジーン・グレイと対抗できたのに(泣)
今やフツーにお疲れぎみの中年!(涙)

あれ、そういえば日本人妻のヤシダ・マリコはどうなったんだっけ?
日本人妻がいるなら、日本でビザもらって働いたほうが楽なんじゃないのか?

このローガンの老老介護、体力の衰え、中年世代には身につまされすぎる!
中年の観客にとっては「あるある」シチュエーション、満載です。

かつては徹夜が続いても「戦うビジネスマン」だったのに、今や体力ガタ落ち
徹夜なんてもっての他、酒量もめっきり減らして、食生活も気をつけるようになりました的な。
認知症になった親の介護もあります的な。
でもまだ稼がなくてはならないので暮らしもたいへんです的な。

わたし的には、せめてファンタジーの世界くらい、病気とか老いとか認知症とか介護みたいな問題とは関係なくあって欲しかったなあああ、と思ったほど。

おかげで鑑賞後は、どーーーん、と気持ちが落ちたのでした。

あ、だからといって映画としてだめだってことではなく、非常によいです。
c0050387_1401289.jpg

ストーリー展開としてはシンプルなだけに、感情移入もしやすいし、リアリティもあるし、ラストに希望もちゃんとある。

今までのXメンがたいてい「超能力大合戦」であって、いささか子どもっぽいのに対して、今回の「ローガン」は大人の鑑賞に堪えるもの。

SFアクションものでありがちな目がかちゃくちゃするCG駆使の映像ではなくて、もっと肉弾戦のバイオレンスなアクションが展開されます。

ローガンの悲しみや葛藤、そして愛がわかるドラマ仕立てになっていて、一匹狼のウルヴァリンに芽生える父性愛が見どころです。
c0050387_13594994.jpg

ヒュー・ジャックマンはめちゃ渋くてカッコいい!
もうね、ミッキー・ロークの「レスラー」を彷彿とさせるというか。

ジョニー・キャッシュの激シブなテーマソングとあいまって、激シブなアクション映画なのでした。

えー、介護世代の中高年のみなさんは、いろいろと身につまされるので、覚悟を持ってご覧下さいね。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

クリックご協力ありがとうございます。

下の↓アメリカ情報バナーをポチッ!とクリックしていただけると、励みになって嬉しいです。
ご厚意ありがとうございます!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ情報へ
にほんブログ村
[PR]
by erizo_1 | 2017-06-05 14:10 | エンタメの殿堂
c0050387_1340207.jpg

好きな映画のジャンルに「せつないSF」というのがあります。
ガタカ」みたいなやつです。

この「Arrival(邦題:メッセージ)も、まさにせつないSFです。

出だしからして、天井を舐めるようなカメラワークと、物憂げな音楽が、いかにも「これから文芸作品が始まりますよ」的な幕あけです。

ヒロインは、娘を亡くした過去をもつ言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)。

ある日突然、世界各地に謎の宇宙船が現れるという事態が起こり、アメリカ軍大佐のウェバー(フォレスト・ウィテカー)に、ルイーズはスカウトされて、エイリアンとの交信を依頼されます。
c0050387_13464895.jpg

この宇宙船が「バカうけ」みたいな形だと話題になっていますが(笑)本当にそう。

そしてルイーズは科学者のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)と組んで、彼らは調査を始めます。
ナゾの宇宙船のなかに入って、エイリアンとの交信を試みるルイーズたち。
c0050387_1347341.jpg

この宇宙人との会話を解読していく過程がメインストーリーになっているんですが、じつはこの部分はむしろ「おかず」といっていい。

このエイリアンはものすごく文明が発達しているんですよ。
時空間も超えてしまう。
だったら、こんな回りくどい方法をとらずに、ルイーズに直接コンタクトすればいいじゃないかと思ったりもするんですけね。

いろいろとこのあたりはツッコミもあるところでしょう。

だが、しかしこの映画の重大な主題は、じつはエイリアンではないのです。
ずばりルイーズが「最愛の子どもを亡くす」ことを耐え抜いてどう生きるのか、という母性の物語なのです。

物語の終盤で、重大なあることが判明します。
ネタバレしない程度にいえば、時間叙述のトリックです。

それがわかったとたん、あああ、あそこの意味はそういうことだったのかとわかる。このあたりから、ぐいぐい物語が胸に迫ってきます。

わかればわかるほど、いや、これはつらい、つらすぎる
自分だったら、とても抱えきれないだろうと思う。
c0050387_13472913.jpg

なんといっても娘を亡くすエイミー・アダムスの演技がすばらしい。

父親には堪えられない痛みであっても母は最後までじつに強い。

どんなにつらくてもわが子を愛する、その母性の強さに圧倒されます。

原題のArrival には「到着」そして「出生」の意味があります。
つまりエイリアンの到着と、子供の出生。

そしてまた原作の小説は「あなたの人生の物語」というタイトル。

なぜ映画の邦題を「メッセージ」にしたのかはわかりませんが、映画を見てから、原題の意味を考えると、ずしりと胸に応えます。

SFといってもアクション映画とは真逆にある物語。

ふだんSFはあまり見ない女性にこそ見てもらいたい、そしてお子さんを持っている方には、ぜひとも見てもらいたい映画です。

未来がわかっていても、なおかつ愛する勇気を持てるのか。
究極の選択かもしれません。

映画のラストに、胸に問いかけてみて下さい。



米国で見逃した方はぜひオンラインでチェケラウしてみて!

テーマソングも、なんともいえずいいです。
音楽総指揮はヨハン・ヨハンセンですが、この印象的なオープニングとエンディングの曲は、もともとマックス・リヒターの楽曲「On the Nature of Daylight」らしいです。



なんとも心に残る楽曲です。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

クリックご協力ありがとうございます。
ご厚意ありがとうございます!
にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ情報へ
にほんブログ村
[PR]
by erizo_1 | 2017-06-03 14:01 | エンタメの殿堂