
マリンバ奏者、ミカ・ストルツマンさんが5月2日、カーネギーホールでソロリサイタルを開催!
カーネギーでの公演は11回目(!!!)になるそうですが、マリンバソロ曲だけのリサイタルは初めてだそう。
私自身は過去に何回か、ミカさんの公演に行って、インタビューもしたことがあるので、この機会にミカさんにあれこれ話を聞いてみました!
初のソロはどんな感じか、尋ねてみたところ、
「ソロは今までとは、まったく違いますね。
今回はマリンバだけのソロで、どれだけ観客の方たちに伝わるか。私にとっては、大きな挑戦なんです」
とミカさん。
実は私自身、数年前に初めてミカさんの公演で聴く前は、マリンバという楽器を知らず(汗)ざっくり巨大な木琴に見えるんですよね。
それをバチを四本使って弾くという、ドラマーにも似たアクティブな奏法なので、よくできるものだと驚いたくらい。
今回の演目ではバッハ作品の「シャコンヌ」と、「無伴奏チェロ組曲第3番」という2曲を演奏するそう。
以前、ミカさんのシャコンヌをカーネギーで聴きましたが、こーれーがすばらしかった。
ご存じの通り、「シャコンヌ」は、不朽の名作として讃えられ、バイオリニスト・ソナタとして名高いもの。
「シャコンヌ」といえば、神々しい調べに心打たれる名曲ですが、バイオリニストにとっても難曲といわれるものを、いったいどうやって木管器で奏でるのか。
ふしぎだったのですが、実際にミカさんの演奏を聴いてみたら、
たしかに「シャコンヌ」!
それでいて柔らかく深みのあるマリンバ独特の音色に乗っていて、ああ−! こういう解釈もあるのか! という新しい発見がありました。
バイオリンの音色とはまったく違う。けれども、深みがあって、すばらしかったです。
なにかこう悠久の森のような調べ、というのでしょうか。
「毎回、バッハを演奏していると、新しい発見があるんです。
すでに4回、レコーディングしているんですが、今回のコンサートのために演奏していると、また新しい発見がでてくる。
300年前の曲なのに、まったく古くならないし、本当に完成度の高い名曲だと思います。
バッハの作品は深いし、重さも違うので、前半はそれに集中するつもりです」
そして後半は、親交のあるジョエル・ロス、チック・コリア、ジョン・ゾーンさんらがミカのために書き下ろした作品を演奏。

ことに故チック・コリアさんとは親しくしてきた間柄で、彼がミカさんに送ったのが「バースデー・ソング」というのが胸アツです。
またキース・ジャレット氏がかつてピアノを即興して弾いた「オーバーザレインボー」をマリンバ曲に起こして演奏予定。
「キースさんは今、療養生活をされているので、キースさんにもぜひ元気を送りたい気持ちで、演奏します」
さらにジェフリー・キーザーさんがミカさんに書きおろした曲は、世界初演となるそうです。
そうそうたるジャズ界の大物が、自分のために曲を書きおろしてくれる。
そんなことが起こるなんて、びっくりですが、
「いやー。頼んだら、書いてくれたんですよねー」
と、どこまでも気負わないミカさん。
夫君であるリチャード・ストルツマンさんも1〜2曲ほど演奏する予定だそう。
リチャードさんといえば、何度もグラミー賞に輝いている名クラリネット奏者。
数年前に初めてリチャードさんの演奏を聴いた時は、演奏しはじめたとたん、うわ、最初の音が違う!
はー。名人というのは、最初の音色が違うのね、と驚いた覚えがありました。

ミカさんは2008年熊本県天草市からニューヨークに移住して、ニューヨークで主に演奏活動をしてきて、現在はリチャードさんとマサチューセッツ在住。
これがまたびっくりの人生で、もともと天草では、マリンバを奏でながらも、農家の主婦であったというミカさん。
「えーッ、天草で農家の主婦―ッ!?? そこからニューヨーク!?」
と驚き、激しくミカさんに興味を抱いて、ぐいぐいインタビューを申し込んで、記事を書かせてもらったのでした。
天草では、野菜も米も作るもので、買ったことがなかったというミカさん。
そんな都会からは遠く離れた地で、アメリカからリチャード・ストルツマンさんやスティーブ・ガットさんら一流のジャズ演奏家たちを招いて、フェスを行ったという、とんでもない行動力の持ち主なのです。
こちらのインタビューを読んでいただけると、さらにミカさんの驚きの人生、そして努力とガッツが伝わるかと思います。
こちら↓をクリック!
天草の農家から、ひとりNYへ カーネギーで演奏するマリンバ奏者、ミカ・ストルツマン(前編)
ミカさんの面白さは、まずドラマーとしての基礎があり、優れたパーカッショニストとしてマリンバを演奏していること。
そしてジャズを長く演奏しながらも、クラシック音楽も弾くという、縦横無尽にクロスオーバーできるマリンバ演奏かであり、現在までに世界22か国66都市で公演を行っているそうです。
「今回は、初心に戻るような気持ちで挑戦します。
シンプルな中で深さを表現したいです」
というミカさん。

またミカさんにとって10枚目の新譜アルバム『マリンバ・ソウル』が、日本のディスクユニオンで5月に発売するので、それを記念して、当日先行販売も予定するそう。
そして! そして!
みんな、ここでアゴはずして、たまげるのよー!
その新譜の帯には、なんとー!作家の村上春樹さんが言葉を寄せているのです!
ええええーッ!
あの村上春樹さんと親しかったとは!
これは当日、貴重なCDをゲットしなくちゃ! でしょう。
私も公演が楽しみです!
■公演タイトル
ミカ・ストルツマン マリンバ「J.S Bach and beyond for Marimba」(J.S バッハ・アンド・ビヨンド・フォー・マリンバ)
■日時
2023年5月2日 8:00pm~
■場所
カーネギーホール ウェイル・リサイタル・ホール
881 7th Ave, New York, NY 10019
■料金
50ドル (学生30ドル)
■チケットの販売サイト