明日のことを心配することはない、ということ
2009年 02月 04日
まだわたしがずっと若かった頃、芝居をやっている先輩から、こういわれたことがありました。
「将来のことなんかあれこれ心配しなくて、だいじょうぶなのよ。
苦労と年を取ることは、こっちが頼まなくても勝手にやって来るんだから」
いま思い返すと、非常に正しいことばだと痛感します。
苦労と年取ることは、頼まれなくてもやって来る。
そういう意味ではじつに人生は公平です。
どんな金持ちにも美人にも恵まれたひとにも、平等にそれらは訪れる。
若い時に苦労するひともいれば、人生の後半になってから、それまでしてこなかった宿題をやらされるひともいる。いっぺんに来ることもあれば、小出しに波状攻撃が来ることもある。
事故や病気や怪我、失業や破産、裏切りや失恋、介護や家族の確執、夫婦の問題や子どもの問題。あるいは不況や事件。
どこから運命の一撃がやって来るかわかりません。
「自分だけはつらい目に遭いたくない」
と願って人間はむかしから魔除けだのお守りだので、なんとか神と取引しようとしてきたわけですが、残念ながらそれはあまり役にはたたない。思うに、やはり神さまはえこひいきをしないのです。
人生では必ず一度は試練の時がある。
どんなに幸せに見えるひとでも、きびしい局面に立たされることはあります。
なぜ人生には困難があるのか。さまざまな考え方があるでしょうが、わたしにはやはり神が与えた課題に思えます。
苦難というよりも、与えられた課題、あるいは挑戦といってもいいかもしれない。
前日のエントリに書いたように、つい数日前に知人が客死されました。
その朝ホテルに駆けつけた時、ご家族はただもうパニックになっていらして、なにも判断できない状態でした。
このひとはこれからだいじょうぶだろうかと、その時は動転している奥さまをただもう抱きしめてあげることしかできなかったのです。
けれどもほんの数日の間に、彼女は強くなっていました。
事実は事実として受けとめ、動き出したのです。
それはまるで内側から新しいひとが生まれたくらいの、蝶が羽化したくらいの変化でした。
ひとが持っている力はすごいものです。
時には周囲が、あるいはその人自身が考えていた「そのひとの強さ」よりも、はるかに強靱で輝くものを持っている。
試練の時にこそ、そのひとの魂が試されるのだと、痛感しました。
そして運命とは、ひとの魂を鍛えるものでもあるのだと。
ひとには試練を避ける力はありません。
また残念ながら、どんな困難になるのか人間に選ぶこともできない。
先でなにが待ち受けているかはわからない。
けれども、それでもその時にどうふるまうかは、わたしたちの自由に任されている。
「いかなる運命であっても、どうふるまうかは自分の自由であって、心の持ちようは自分が選ぶものなのだ」
というところに、人間の精神のもっとも高貴な部分が宿っているのではないかと思います。
その例を目の当たりにして、深い感銘を受けました。
わたしもその姿勢を見習いたいものだと思います。
だからこそ若い世代には「なにも恐れることはないんだよ」といってあげたい。
人生で待ち受けている困難を恐れることはないです。
これからなにが人生で待っているか、わたしたちにはわからない。
恐れようが心配しようが、運命の一撃は来るときはやって来る。
それを恐れて動かずにいるよりも、運命の一撃が訪れたときに切りぬけられる精神力を培っていったほうがはるかにいい。
だって来るときには来てしまうんだから。
そうなった時にはなにがなんでも切りぬけて、先に進まなくてはならないんだから。
実際には困難そのものよりも、困難にあったことでくじけて、だんだんうしろむきになってしまうために、かえって問題が大きくなっていくということがめずらしくない。
なにが起きたかより、どうふるまったかで、大きく後が違っていってしまうものです。
だから大切なのは避けることじゃなくて、いかに前に進んでいけるかということ。
そしてその力はちゃんと内側に備わっているのではないかしら。
自分で思っているより、たぶん内側にある力はずっと強い。
そしてまた今つらい時期にいる方、今悩んでいる方に、声を大にして伝えたいです。
だいじょうぶ。今のつらさが何年も続くことはないですよ。
必ず抜ける時期が来ますから。
自分自身や周囲のいろんな例を見ている限り、試練の時期というのはだいたい2〜3年のサイクルを持っているように見えます。
10年も20年も続くものではないし、また本来は3年で終わるものを、わざわざ自分で複雑にして長引かせる必要もない。
わたしには想像のできない苦しみのなかでいま悩んでいる方もいるかもしれない。
どんなにかつらいだろうと思うし、それに耐えて進んでいるのは本当に偉いと思います。
きっと吹雪のなかを歩いているような気持ちで、足もとも取られて歩きづらく苦しいでしょう。
時には疲れて、座りこんでしまいたくなるかもしれない。
でもだいじょうぶですよ。
必ず光は先にある。
そんなに遠くないところに、温かな灯りが待っているはずです。
あなたは必ず辿りつけます。
決して、決して、決して希望を捨ててはいけないよ。
吹雪がおさまれば、どんなにその灯りに近いところまで来ていたか、必ず気がつくはずだから。
だいじょうぶ!
Everything's gonna be alright!


