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コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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マイケル・ジャクソン「バッド」の見所はこれだー!

二日間まるまる寝込んでいたら、ようやくエネルギー回復。
締め切り原稿も書けるようになりますた!
週明けからやっと平常運転できそうなエリぞうです。

さてテレビでは朝から晩までマイコーのビデオが流れっぱなし。

マイコーの全盛期はまさにミュージックビデオの興隆期と重なっていて、
「次はなにをやるんだろう」
というのが楽しみな時代だったんだよね。

今どき「次のビデオが楽しみ!」なことってないし、そんなに制作に金をかける時代ではなくなったし、そもそもミュージックビデオが時代を牽引するものじゃなくなっている。

スリラー」は音楽史に残る金字塔だけど、この先もあれを超える作品は出ないだろうなあ。
なんたって監督はジョン・ランディス。
特殊メイクはリック・ベイカーという豪華布陣だもんなー。

エリぞう的には「スリラー」の次に強烈な印象があったのが「ビート・イット

ついでにアル・ヤンコヴィッツのパロディ「イート・イット」も蘇るんですが(笑)
マイコーは本当にダンスがうまい!
すばらしい!

しかもこの振付師(ビデオでは白いジャケットを着ている親分の役のひと)がまたものすごくうまいんだよね。
思わず目を吸い寄せられます。

そんな不朽の名作「ビート・イット」ですが、いま観ると、おもしろいのは不良が不良に見えないことだね(笑)

だって不良がハイウエストのジーンズ履いているんだもん!
しかもTシャツを中入れして着ているのだ!

今どきのNYではパンツ丸見えくらいに腰履きしているガキばかりなので、
「おお、80年代のワルはハイウエストだったんだ!」
と新鮮な驚きが。

横ボーダーのシャツを着ている不良というのも、今どきありえないよね。
横縞シャツなんて着ていたら、おゲイでしょ!

しかも白人ダンサーなんてカジャグーグーみたいなヘアスタイルしていたりして、どこらへんがワルなのか、さっぱりわからない。

おまけにみんながスリムだったというのも、なかなかに新鮮。
ピタパン履いているし。

今どきのワルなみなさんはデブが多いからなー。
10人のバックダンサーがいたら、4人くらいは太めにしておかないと、今どきのワルなみなさんには見えないよねー。

ともあれいろんな意味で「80年代のステキチぶり」が蘇るビデオですね!

そしてよい子のみんなは、「バッド」のロングバージョンを知っているかな?

このミュージックビデオ、なんとマーチン・スコセッシ監督によるものなのだぜ!

じつはロングバージョンについては、わたしは知らないでいて、友だちの家で初めて観たんですが、

「えーッ、こんな話だったの?」

とたまげましたよ。
正直いって「なんじゃ、こりゃー」と驚く珍品!

ザッと説明しますと、始まりはアイビーリーグ大学の寮プレップな高校。
そこの学生であるマイコーがクリスマス休暇で、故郷に帰るところから始まります。
まわりはプレッピーなお坊ちゃんばかり。

そして列車でグラセンに着いたマイケルは地下鉄に乗って、故郷の町に。
どうやらハーレムのよう。

そこで待っている幼なじみの三人組み。
なんと若き日のウェズリー・スナイプスが登場です。

「よく帰ってきたなー」
「元気だったかー」
と旧交を温める彼ら。

「ようよう、大学ではみんなカメのメガネをしているのかよ?」
と尋ねる友だちに、
「カメじゃなくて鼈甲のメガネだよ」
とコトバを正すマイコー。
ちょっと白けるみんな。
ハーレムに住む悪ガキたちと、インテリなマイコーの間には見えない壁ができているのでした。

そして悪ガキの親玉ウェズリーは、悪いことしようじゃねえかよー、とマイコーを唆すのです。

「ぼくのことはほっといてくれよ」というマイコー。

しかしウェズリーはしつこく食いさがり、
「なんだよ、古いダチを捨てるのかよ。
おまえの通っているナンジャッキーな学校がなにを教えているか知らないがな、
おまえはもうワルじゃないんだな?」
みたいないちゃもんをつけるわけだな。

仕方なく「ぼくだってワルだぞー」と証明したがるマイコー。

彼らは地下鉄の駅に行って、かつあげをすることにします。
そこにフラコラとやってくるおじちゃん。

マイコーは思わずおじちゃんを助けて「逃げるんだ!」と逃がしてやることに。

注)このあたりがナゾでハーレムのおじちゃんを狙っても、ぜんぜん儲けにならないと思う。もっと金持ちを襲うべきじゃないのか?

「なにやっていやがるんだ」と怒るウェズリー。

すると、じゃじゃーん!
なぜかマイコーはいきなり黒革ジャンに着替えて、どこからか現れたダンサーズを従え、群舞がスタート。

オレはワルだー。ワルなんだぜー♪」

と歌うマイコー。

このときドンビキになっているウェズリーの表情がなんともいえずいいのだ(笑)
演技とは思えないマジなドンビキぶり!

そして唄って踊って、ホー、のかけ声。

マイコーの迫力に、さすがのウェズリーも「わかったぜ」と引き下がるのでした。
ちゃんちゃん!

いや、正しくは「わかったぜ」というよりも「これ以上係わりたくないなー」と思って引いたというべきか(笑)

巨匠スコセッシ先生、さすがにリアルな箇所の演出はすこぶるうまいです。
が、いきなりダンスシーンになるところの非現実感が、ものすごくミョー。

ミュージックビデオに必要な「前後の脈絡なく場面が変わる」というノリが、巨匠にはどうやらあわなかったもよう。
なんともいえず、ふしぎな作品にしあがっています。

このロングバージョンはめったに放映されず、今回のような機会でないと、なかなかお目にかかれないと思うので、ぜひチェケラウ!

マイコー・ワールドにシビれること、間違いなしですぜ!


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by erizo_1 | 2009-06-29 10:08 | エンタメの殿堂