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コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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死にたくなるほど悩んだこと

死にたくなるほど悩んだこと_c0050387_159505.jpg

先日ロイター通信の記者にして映画監督の我謝京子さんと、子どものサマーキャンプNPOミステリオ」を運営している寺尾のぞみさんとランチをしたエリぞうです。

ばりばりのキャリアウーマンであるお二人に、こんなテケトーなわたしが混じっていいんでしょうか。
うひー!

さて先日書いたように、わたしは我謝さんが監督した「母の道 娘の選択Mother’s way Daughter’s choice)」の予告編を見たんですね。

日本に育ちながら、アメリカに住むことになった女性たちのドキュメンタリー
これがめちゃめちゃおもしろそうで興味を惹かれたんですよ!

わたしの世代は、両親たちの持っていた「こうあるべき幸せ」の概念と、自分たちが求める「個人の幸福の追求」の考え方がぶつかって価値観がガラガラとひっくり返った時代だけに、非常に興味あるテーマです。

で、制作過程を聞いてみると、これがまたヒジョーにおもしろかった。

ドキュメンタリーというのは膨大なフッテージを録画して、その素材からなにを伝えたいか、編集作業によって監督は作品を作りあげていくわけですよね。

フィクションなら最初に脚本があるけれど、ドキュメンタリーは撮った素材を編集しないと話が生まれない。

その莫大な編集作業というのが「とにかくたいへんだった」と我謝さん。

1分間のシーンをつなげるのに、百回くらいやり直しましたね。
ああでもない、こうでもないってやり直してみる。
寝ていても考えるのよね。
パッとアイデアが浮かんで、あ、これだって思ってつなげてみるんだけど、実際にやってみるとだめだったりしてね」

おおお。よくわかります!

エリぞうも原稿に行きづまると、パソコン画面が夢に出てくることありますよ!
よくよくモニターを見ると、マトリックスみたいなナゾの文字が流れていて(笑)わかりそうでわからないの。

「どうしたらいいかなにも考えつかなくて、死にたくなったことが何度もありましたね」

ある、ある、ある!
またも「あるある」ボタンをバシバシと押したくなったエリぞうでした。

不肖エリぞう、その気持ちお察しします。

わたしもジュニア小説を書いていた頃は、本を一冊書くたびに一回は死にたくなっていたものです。

だいたい2〜3ヶ月に一冊書いていたから、かなり頻繁な苦しみですよね。

えー、ここで話している「死にたくなる」というのは、あくまでアイデアを捻りだすために呻吟するって意味ですよ。

たとえば職場の人間関係による苦悩とか嫌がらせとか、体力の限界まで働かされるために死にそうというのは、はっきりいってひとつもいいことがないから、職場を移るか、現実的に解決していったほうがいい。

ここでいうのは「無からなにかを作る」という苦しみのことです。

わたしの場合はジュニア小説を書いていた当時あんまり悩んだもんだから、円形脱毛症になるわ、白髪になるわ、体を壊すわ、医者に通うわ、けっこう肉体的にもキマしたね。

でもまあ、それくらいフツーなんだろうな。

その頃少女マンガ家さんの知りあいも何人かいたので、話を聞いたところ全員が同じことをいっていました。

「気がついたら夜中に踏みきりの前にたっていた」

なんて話はゴロゴロ。
ほとんどのひとが死と隣り合わせになる時間があるらしく、衝撃を受けたものです。

少女マンガといったら、きゃぴきゃぴで、恋やイケメンがいっぱいで、楽しい世界に思えるじゃないですか。

でもそのハッピーでスイートな世界を創るために、舞台裏では必死でもがいて七転八倒しているひとたちがいる。

これはどんな分野でもいえることで、新製品の開発とか新しいビジネスモデルを考えるとか、ここイッパツ捻りださなくちゃならない場面では誰もがジタバタしてやっていると思うんですよ。

好きなことだから楽しいにせよ、でも「楽しいだけ」でやれるっていうのはないと思うし、少なくともわたしはそんなひとは見たことがない。

頭をかきむしってどうしていいかわからない、おのれの才覚のなさに絶望する、解決法が見つからなくて茫然とする、ああでもないこうでもないとひねくりまわし、何度も失敗してはやり直す、死にたいくらい行きづまる。

たぶんそこまでしないと、アイデアなんて絞り出せないないんだろうね。
だって自分の脳の限界に挑戦することなんだから。

わたしは映画「アマデウス」みたいにモーツァルトが簡単に作曲できていたとは思わない。
天才だって自分の限界に挑戦するんだから、そりゃ苦しいでしょう。

それどころかオリンピックの棒高跳びみたいなもので、バーが常人にはできない高みにあるわけだから、よりたいへんなんじゃなかろうか。

でも「自分にとって楽なところ」でやっちゃうと、ふだんの自分より小さいものしか出てこない。
なにも新しいものが出てこない。

たぶん脳みその鍛え方も、肉体のトレーニングと似たようなものなんだろうなと。

自分の脳の限界の、ちょっと上くらいをギリギリ狙って、もうむり、もうだめ、できないともがきながら、ようやく上の段にあがれるんじゃなかろうか。

もしこれを読んでいる方のなかで今ちょうど、
「すごく悩みながら、試行錯誤を繰り返している」
とか、
「ああでもない、こうでもないと考えあぐねて暗中模索している」
なんて方がいるとしたら、じつはとても正しい方向にむかっているんだと思います!

すごく正しい悩み方ですよ!

我謝さんはロイター通信で働きながら、お子さんも育て、さらに休日を利用してドキュメンタリー映画を完成させたという、わたしからすると「ありえへん」なスーパーウーマン。

そんなひとでも「死にたいくらい悩む」というんだから、わたしなんか行きづまって考えあぐねて上等だよなー! と、変なところ安心したのでした。

てことで、今年はドシドシ悩んでいくことにしたエリぞうだすねん。

さてこの我謝さんの「母の道 娘の選択」ですが、3月末にマイアミで公開、その後4月上旬にNYで公開される予定。
公開が楽しみです!


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by erizo_1 | 2010-02-07 15:20 | カルチャーの夕べ