リトル・イタリーのラ・ベラ・フェラーラで強制カラオケ
2010年 03月 03日
NYの観光地であるリトル・イタリーですが、ま、ここにイタリアンを食べに来るニューヨーカーは今どきいないやね。
でもお茶する分にはお菓子やカプチーノのおいしい店があってとてもいいのです。
「あ、ケーキがおいしそうだ! この店にしよう」
と十歳児マインドまるだしで、店に入っていくピタ隊長。
うお、壁に一面セレブの写真が貼ってある!
それもほとんどがオーナーのおやじさんとセレブのニコぱち写真。
なかでもフランク・シナトラの大ファンで親交があったらしく、シナトラの写真やサインが壁を埋めつくしている。
さらにソフィア・ローレン、ロバート・デニーロ、「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」のジェームズ・ギャンドルフィーニなど、イタリア祭り絶賛開催中。
しかしよく見ればロバート・レッドフォードなんかも混じっていて、セレブなら誰でもいい感が見受けられなくもない。
この時点で激しく危険信号が点滅していたのだが、ウエイトレスのマダムが感じいいので、ついカプチーノとケーキをオーダーしてしまった我々である。
すると、オヤジさん(推定年齢60代後半〜70代?)がやおらマイクを手にして、今からライブを始めるぜと宣言するではないか。
えーッ、なんだ、これは!
テーブルの上をよく見ると、プラスチックの夾みにメニューの代わりに、週末の夜はライブショーがあると書いてある。
「カバーチャージはありません、リラックスしてお楽しみ下さい」
そりゃなくて当然だろ!
喫茶店でいきなり歌を聴かされて、それにカバーチャージがついていて、支払いが18万円になっていたりしたら、ローマのぼったくりレストランだよ!
こちらが茫然としている間に、オヤジはひとりでカラオケをセットして、朗々とした声でイタリア歌謡だの「マイ・ウエイ」だのを歌い上げる。
ほほう、たしかにうまい。
名誉のためにつけくわえると、歌はうまいから、若い頃は歌手を目指していたんだろうね。
しかし一曲終わるごとに、こちらとしては拍手をしてあげなくてはならないわけで、なんだか社用で着たカラオケバーにでも来た気分。
しかもライブが始まるのが8時半からと説明書きしてあるのに、なぜか30分も早く始まっているのであった。
ひー!
こ、これはオヤジさん的には前座なのか?
すごいなー。
この「スナック」感溢れる空気。
リトル・イタリーといったら、コテコテの下町で、東京でいったら亀有とか錦糸町とかの雰囲気であろうか。
なにかこう亀有あたりのスナックにいるような気分になってくる。
オヤジも「マスター」とか呼ばれているんだよね。
名古屋出身の部長も「いやー、の喫茶店を彷彿とさせるねえ」
「マスター、いつものやつ、出してちょ」
というと、ピーナッツが添えられたコーヒーが出てきたり、小倉トーストが出てくるんだろうね(笑)
でもって壁には尾崎紀世彦とか青江美奈とかちあきなおみとか、千原ジュニアとかはるな愛とかの色紙が脈略なく並べられているような店。
しかも油で汚れないように色紙をサランラップでくるんでいるようなスナックにいる気分になるねえ。
「世界の至るところに、有名人好きのオヤジはいる」
「世界の至るところに、マイクを握ったら離さないオヤジがいる」
「世界はどこまでいっても亀有のスナック」
という法則が虚しく脳裏をかけめぐるエリぞうであった。
しかもオヤジさんが一筋縄でいかなそうで、愛想のいいわりに眼光が鋭いのだ。
やってくるお客さんたちも観光客ばかりでなく、イタリア指数120くらいのオヤジたちがやってきて、これがまたどこのソプラノ一家ですか、みたいな体格ばかり。
このあたりも地元感、コテコテ感、「昔はやんちゃしてね」感、「ここはひとつオレの顔をたててくれ」感、「今年の神輿はオレがかつぐ」感が漂っていて、ものすごい下町ハードコアを感じさせるのである。
フランク・シナトラがマフィアと交遊があったのは有名な話で、興業と飲食業とイタリア系とマフィアというのは切っても切れない仲だったわけですから、オヤジさんとて長い人生、清濁あわせ飲んできたのでしょう。
で、このオヤジさんがマイクを握って熱唱している間、店は奥さんらしき女性がひとりで切りまわしているんですな。
この熟女が、なんというかジーナ・ロロブリジータのなれの果てといった感じで、さすがイタリアン・マダム、お色気むんむん。
きれいに髪をセットした恰好で、オーダーを取り、コーヒーを注ぎ、テーブルを拭いてきびきびと働いているのだ。
年の若い奥さんがテキパキと働いている店内で、ひとりマイク片手に酔いしれるオヤジ。
いいねー、オヤジさん、男の夢を叶えた生きざまだね。
だって慣れ親しんで育った地元で喫茶店を経営して、壁には「オレさまとセレブのステキチ」写真を披露して、色気のある年増のカミさんがくるくると立ち働いてくれて、客にうむをいわせず歌を聴かせるわけだろ?
そりゃ楽しい人生さ!
もしかしてドナルド・トランプより幸せかもしれない「ラ・ベラ・フェラーラ」のオヤジ。
イタリア魂の真髄を魅せていただきマスタ。
ところでこの店、イタリアン・ベーカリーとしてはたいへん評価が高いようで、YELPではこの店のカノーリが大絶賛されているのです。
カノーリとはイタリア語ではカンノーロ、シチリア名産のお菓子で、パイ皮のなかいにクリームを詰めたコルネみたいなデザートです。
ちなみに「ソプラノズ」では、トニー・ソプラノの好物という設定なんですよ。
うふ!
次回はライブショーを避けて、このカノーリに挑戦してみたいです。
コテコテのリトル・イタリーを満喫したい方はどうぞ!
La Bella Ferrara
住所:108 Mulberry Street between Canal Street & Hester Street New York, NY 10013
電話:(212) 966-7867
営業: 9:00am-12:00am
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