夢の映像マジックがすごい! 「インセプション」
2010年 07月 19日
アメリカでは目下大ヒット中で、ボックスオフィスの一位を記録。
ひとことでいうと、他人の夢に侵入するスパイの物語です。
主人公のコッブ(レオナルド・ディカプリオ)は、他人の夢に入りこんでアイデアを盗みとるという企業スパイ。
彼には深く潜在意識に潜る能力があるが、最愛の妻(マリオン・コティヤール)を亡くしてしまい、その殺害容疑のために二人の子供を置いて逃亡生活をしている。
そこに現れたのが、ナゾの日本人、斉藤(じゃーん、渡辺謙だー!)
彼がコッブに依頼したのが、敵対する大企業を解体するアイデアを、その社長の息子であるロバート・フィッシャーの潜在意識に植えつけること。
英語のinceptionというのは「始まり」「発端」「端緒」の意味。
この映画のなかでは相手の潜在意識にインセプションを植えつけるという意味で使われています。
任務のためにコッブは建築学を学ぶ女学生アリアドネ(エレン・ページ)を、夢の世界を設計する建築士としてスカウトする。
そして相棒であるアーサー(ジョセフ・ゴードン・レヴィット)やイームス、薬剤師とチームを組み、斉藤を加えた6人で作戦を決行して、ロバートの夢のなかに潜入していく。
しかし夢のなかで思わぬ事態が起こり、彼らは夢のなかでさらに階層の深い夢のなかに下りていくのだが……。
この映画なにしろ映像がすばらしい!
地面が持ちあがって直立したり、街並みが吹き飛んで崩壊していったりと、「ありえない」現実を現実にしてみせる映像マジックに、感嘆させられます。
なにより感心したのが、↓このホテルのアクションシーン。
無重力状態になって乱闘するんですよ。
いったいどうやって撮ったんだろう。
このシーンだけでも観る価値あり!
そしてキャストも、非常にツボを得ていて、それぞれの個性が光っていていい!
渡辺謙は想像していた以上にビッグな役で大当たり!
全編英語ですが、じつに自然に演技していて、渋い存在感が際だっています。
ま、物語上は「斉藤」という人物が日本人である必然性はないんですけどね(笑)
この「斉藤」は、アメリカ政府も動かせる要人らしく(オバマとツーカー?)、さらに飛行機会社も買収できる財力もある(財政破綻したJALを買収したのか?)という設定なんだけど、今どきそんな日本企業はないだろうしなー。
中国企業の要人という設定のほうがリアルな気もするんだけど、それはそれとして、この映画での渡辺の殿はグッジョブ!
そして物語としておもしろいのは、夢のなかでさらに階層の深い夢のなかに入れ子細工のように入っていってしまうところ。
はたしてディカプリオたちが現実に戻って来られるのか、手に汗握るサスペンスが楽しめます。
ただしこの映画のなかでは、夢の世界がものすごく理路整然としていて、ぜんぜん夢っぽくないんですよ(笑)
夢というのは脈絡のないものですが、この映画ではどこまでもきちんと破綻がなくて、登場人物たちも起きている人間より、よほどテキパキと動きまわる(笑)
階層の深い無意識にどんどん下っていっても、ユングのいうように集合無意識にいきついたり、フロイトがいうところエスや超自我にぶちあたったりするということもない。
「他人の夢に潜り込む」というのは、筒井康隆の小説「パプリカ」にも通じる設定ですが、「パプリカ」では夢の力をイマジネーション豊かに描いていたのに対して、この映画では夢というのはあくまで設定。
あるいはタルコフスキーの「惑星ソラリス」のような隠喩や詩的な芸術性といったものもちりばめられておらず、きわめて現実的だし、心理の深みまでは追求していきません。
「夢」や「無意識」という単語から連想されるような深層心理映画というより、バーチャルリアリティを舞台にしたアクション映画と考えがほうがよさそう。
とにかくこの映像マジックは百聞は一見にしかず。
この夏イチ押しのブロックバスター映画です。
大画面で体験してみて下さい。
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