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コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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アートを愛する老夫婦を追った「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」全米公開!

NYに住むアートコレクター夫妻を追ったドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー 50 x 50』(邦題:ふたりからの贈り物)が全米の多くの都市で公開です!
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郵便局員のハーブと、図書館司書のドロシー、夫婦共通の楽しみは現代アートのコレクション。
選ぶ基準はふたつ。
1. 自分たちのお給料で買える値段であること。
2. 1LDKのアパートに収まるサイズであること。

つましい生活の中で半世紀をかけて買い集めた作品は、いつしか20世紀のアート史に名を残す作家の名作ばかりに。

そして彼らはそのコレクションを売ることなくアメリカ国立美術館に寄贈
2008年公開のドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』は、多くの映画祭で受賞をし、二人の生き方に日本でも世界でも多くのひとたちが魅了されました。
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それでも増え続けるコレクションを、全米50州の美術館に50作品ずつ寄贈するという過程を描いた続編が、この『ハーブ&ドロシー 50 x 50』

この映画の監督は佐々木芽生(めぐみ)さん。
これまでも数多くの映像作家たちがアプローチしてもハーブとドロシーが応じなかったのを、佐々木監督が撮影できたのは、「他の監督たちは資金集めができたら撮影を開始するといって戻って来なかったけれども、わたしはまず撮り始めたから完成できたんだと思います」といいます。
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2作目にあたる『ハーブ&ドロシー 50 x 50』(邦題:ふたりからの贈り物)はクラウド・ファンディングを日米で活用。
なんと日本では、日本最高記録の1400万円を越える資金を集めるという快挙を達成。

わたしも少しファンドしましたが、今までしたことなかった「自分も映画作りに参加する」という経験をし、さらにその映画を観るのも初めて経験しました。

NYではIFCセンターで上映され、佐々木監督とともに、ドロシーさんも登場です。
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今作では寄贈作品を受けとった美術館のキュレーターたちや、展示物を見ながら「この作品のどこがアートなんだろう」ととまどう観客たちや、そしてアーティストらとの交流を中心に、実際のコレクションが多数登場します。

「今回アートに焦点はを当てました」という佐々木監督。

車椅子生活になっていたハーブ氏ですが、それでも「これはこうディスプレイしなくてはならない」といった指示を与える時は非常に明晰で、その時だけは眼光が炯々と光るのです。
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『ハーブ&ドロシー』は日本でも大きな話題を呼びましたが、目利きに対する尊敬というのは日本人の精神風土に脈々と流れているのではないでしょうか。

それこそ千利休から始まって古田織部らの茶人の系譜、あるいは青山二郎や白州正子の人気にも通じるもので、たしかな鑑定眼を持つ人物というのは、多くの日本人にとっては憧れといえる存在。

なにも知らない人が見たら、たんなるゆがんだ茶碗がなぜ価値あるものなのか。
わびさびという美意識には前提として教養が必要ですが、これが映画を観ていると、コンセプチャルアートにも通じるものなのだなあ、と感じます。
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ふつうの人にはゴミにしか見えないものが、なぜアートとして重要なのか。
ずばりと価値を見抜くハーブ氏はまさに炯眼
見る目の天才

アーティストたちがハーブのことをコレクターとは見なさずに、同じ世界に住んでいる仲間と見なしているのも当然のこと。

芸術はアーティストが作り出すものですが、審美眼があるひとなくしてアートは発展しえないのだと、しみじみ納得です。

ハーブとドロシーには財産もなければ、子どももいない。
けれども芸術を愛する心があって、審美眼がある。

お金ではない、豊かな生き方とはなんなのか。
心の豊かさとはなんなのか。
二人の生き方は大きなインスピレーションを与えてくれます。

この映画のラストシーンは胸にずしんと来ます。
アートに捧げてきた二人の絆と愛をぜひ感じてみて下さい。

全米での公開スケジュールや公開ロケーションは、こちらの映画の公式サイトでチェックしてみて下さい。



それから第一作『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』をまだご覧になっていない人はまずこちらからチェック!
アートが好きな人は必見です。

ハーブ&ドロシー [DVD]




そしてNY在住のみなさん、日系人会館で佐々木芽生さんの講演会と交流会があります。

ゼロから実現した映画製作と配給の軌跡:
『ハーブ&ドロシー 』2部作を完成し
世界公開に導いたその努力と情熱とは

講師:映画監督 佐々木芽生さん

監督業というクリエイティブな面だけでなく、多大な資金集めや大勢のスタッフ管理、宣伝・配給という全てをこなすプロデューサー業をも背負いこんで公開に結びつけた佐々木監督。
夢をリアルに実現すること、NYで自立して生きていくこと、その9年に渡る奮闘の軌跡を語っていただきます。

■日 時: 10月16日(水) 受付開始 6:30PM / 講演会開始 7:00PM
■場 所: 日系人会ホール 15 West 44th Street 11階
■参加費:  JAAメンバー $25/ゲスト $30/学生 $20 (軽食付)

-■問合せ・質問: event@bwcjaa.org (自動返信応答あり)


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by erizo_1 | 2013-10-07 12:37 | カルチャーの夕べ