「バスキア」の監督で画家、伝説のジュリアン・シュナーベルはパジャマを着ているのかの巻!
2016年 10月 18日
包帯や布でキャンバスをぐるぐる巻にして、立体的にしあげたキャンバスそのものが作品になっています。
後には橇やレーシングカーといった立体の作品も作ったスカ−ピッタですが、ミッドセンチュリーの作品も絵画というより立体のスカルプチャーに近いもの。
そしてこの日、解説に来たのが、アーティストのジュリアン・シュナーベル。
わー、生シュナーベルがいるーーー!
わたしはこの方が監督した「バスキア」や「潜水服は蝶の夢をみる」が大好きなのですー!
ジュリアン・シュナーベルはスカ−ピッタと親交があり、そのエピソードを披露してくれました。
ジュリアン・シュナーベルといえば、いつも「パジャマを着ている」ことで有名。
「バスキア」のなかで、自身を投影した役柄、ゲイリー・オールドマンが演じたアルベール・ミロも映画のなかでパジャマを着ていましたね。
なんと監督している時まで、パジャマとガウン姿!
ということで、まっ先に頭に浮かんだのは、「ほんとにパジャマを着ているのか?」という問題。
たしかにパープルのパジャマっぽい上下でしたが、上からジャンパーを着ているので、中身までは確認できず。
上から羽織っているジャンパーは「Blind Girl Surf Club」というRVCAのアイテムで、じつはサーファー仲間としてデザインをコラボしたラインのよう。
まあ、年中パジャマといったって、寒くなれば、パジャマの形をしたダウンジャケットがあるわけじゃないから、なにか上に羽織らなくてはならないわけだよね。そりゃそうか。
さてそんなシュナーベル、かつてNYで初めて知りあった人が、サルバトーレ・スカーピッタだったそうです。
深い親交があったらしいのですが、2001年の9.11の後にスカ−ピッタが外を歩くのを怖れて引きこもりになってから、会わなくなったのだとか。スカ−ピッタは2007 年没。
スカ−ピッタの芸術について語っているところです。
話を聞いていて特に印象に残ったのが、このようなフレーズ(精確ではないです)
「ある時期にアーティストたちが、互いに知っているわけではないのに、似たような作品を発表しだすことがある。
誰かの作品を観て真似したといったようなことじゃない。
時代の要請のようなものだ。
あとからふり返った時に、その時代の意味がわかる」
「アーティストは週給や月給で払われるのではなく、死後に支払われる職業だ」
たしかに!
ジュリアン・シュナーベルといったら鬼才なので、ぶっとんだ人物を想像していましたが、じつにインテリジェントでカッコいい方でした。
そしてもうひとつ美術評論家の方の解説で、おもしろい発見が。
スカーピッタはイタリア生まれで、子どもの時に、癇癪を起こして家を飛びだして木に登り、降りて来なくなったということがあるそう。
「自分はいちばん長く木の上にいる人間になる」といって、そのまま降りて来ないものだから食事を届けに行ったりして、地元の新聞にも取りあげられたんだとか。
その逸話を耳にした作家、イタロ・カルヴィーノが書き上げた小説が「木のぼり男爵」なんだそうです!
おおおおおー!イタロ・カルヴィーノの「木のぼり男爵」といったら、わたしがいちばん好きな小説のひとつ!
まさか実在のアーティストがモデルだったとは!
まさに絵に描いたような奇人変人のアーティスト談ですね〜。
いろいろと発見の多いプレスプレビューでしたが、久々にシュナーベルの映画も観たくなったなー。
参考までに説明しておきましょう。
潜水服は蝶の夢を見る [DVD]
脳梗塞で倒れた主人公が、全身動かないまま、左目の瞬きだけで、自伝を書くようになるまでの話。
この映像が圧倒的に美しい!
さすが芸術家が作った映画です。
マチュー・アマルリックは色気があっていい男だし、演技もすごい!
原題は「The Diving Bell and The Butterfly」
潜水服のように重く動かなくなってしまった体と、精神だけは蝶のように自由に飛び回れることの対比を意味しています。
ダイビング・ベルというのは、実際に昔は鉄の鐘(ベル)を潜水の時に使っていたんだそう。
こわー!いやもう、こんなの死ぬ気まんまんですね(汗)
バスキア [DVD]
ジュリアン・シュナーベルが実際に交遊のあった夭折の画家、バスキアを描いた映画。
デビッド・ボウイが、アンディ・ウォーホールを演じるんですが、もうこれがはまりすぎていて、そのねちょねちょした喋り方に、シビれる!(笑)
この映画、ベニチオ・デル・トロ、(まだ髪があった頃の)ジェフリー・ライト、マイケル・ウィンコット、ゲイリー・オールドマン、デニス・ホッパー(本人もたいへんなアート蒐集家らしい)、クリストファー・ウォーケンと、もういい男揃いです。
そしてイタロ・カルヴィーノの木のぼり男爵 (白水Uブックス)
一生を木の上で過ごしてしまう奇人の男爵と、イタリア社会の移り変わりを重ねあわせた物語。
奇想天外でいて、美しく、とてつもなく面白い小説です!
この少年男爵が美少女に恋するんですが、この美少女がとんでもなく意地が悪いのが、イタリア的でまたいいんですよ!
おもしろく読める小説なので、ぜひどうぞ!
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