国際ジャーナリストの津山恵子さんが「現代アメリカ政治とメディア トランプの勝利は偶然か、必然か」と題する講演を行い、拝聴してきました。
「分極化するメディア、変貌する政治の行方」
というテーマで語ってくれましたが、これがすばらしくタメになって、もうなるほど×100回な講演会でした。
「いかにネットやSNSの発達にともなって、政治の中間層が激減してきたか」
「フィルター・バブルの時代に生きる危険性とはなにか」
といったドキリとするような内容で、今まで気づかなかったことをわかりやすく見せてくれたのは、さすが敏腕ジャーナリスト。

トランプ氏といえば、テレビ番組で知名度を高めて、いわばタレント候補として出馬し、ブライトバートのようなオピニオンサイトが後押しした大統領で、そういう意味ではメディアが生み出したスターでもあるわけです。
そうして政権についたトランプ大統領が、今度は主流メディアを「アメリカ国民の敵」「フェイクニュース」と攻撃。その一方では本人がツイート大好きで、しかも事実とは異なるツイートを頻繁に流しているという、かつてないカオスな状況にあるアメリカ。
そうした複雑な状況を、津山さんがわかりやすく整理して解説してくれました。
よく「分断」の時代といわれますが、いったいなにが分断なのか、津山さんは実際に数字をあげて解説。
アメリカでは、かつては保守、リベラルの支持者以上に中間層というのが多かったのが、今や保守かリベラルに分断してしまい、中間層が激減してしまったそうです。
これは議会でも同じことだそう。日本でも同じことを感じますね。
それにはネットやSNSが大きく関与していて、アルゴリズムが作りあげる情報のフィルターが関わっていると、津山さんは解説します。

今ではネットがアルゴリズムで「あなたがお好きなのはこれでしょう」と記事だの商品だのの情報を届けてくれるので便利ではあるけれども、それはもはやフィルターをかけられた情報であるわけです。
フィルターがかかった情報に接している「フィルター・バブル」のなかで生きているのが現代。
ニュースもすでにフィルターにかけられたものばかりが届けられていて、私自身もそれを無意識に見ているわけです。
そこにつけこんで、たとえばロシアで大量生産されたフェイクニュースが流れてきて人心を操作、選挙にも影響を与えているということには、愕然としました。
さらに「ディープ・フェイク」という合成フェイク映像を即時に流せるテックも出て来ているとのことで、これでは一般の人たちはとても見わけられないですね。
恐い時代です。

考えてみれば、SNSなんてものに人類が遭遇したのは近年のことであって、たとえばガソリン自動車の発達と共に大気汚染が起きたり、化学物質が開発された代わりに公害が大問題になったりと、人類は発明のたびに大失敗もしているわけで、SNSの発明は当然公害を生んでいるのでしょう。
「GAFA」
「フィルター・バブル」
「エコー・チェンバース」
「フィルター・バブル」
「ディープ・フェイク」
「フェアネス・ドクトリン」
「イコールタイム・ルール」
こうした重要なキーワードについて、ぜひとも津山さんが共著した「現代アメリカ政治とメディア」を読んでみて下さい。

アメリカに関わらず、インターネットの時代に生きている現在、日本でもまったく同じ状況が起きていますよね。
自分の意見に合う情報だけを読み、分断が進んで、かつての中間層がなくなっている時代。
たちは何ができるのか、どうやって情報を判断する知性を鍛えるのか、ということを考えされられます。
恵子さんには、ぜひともYouTubeかオンライン講座で、この内容を流して欲しいなー。

津山恵子さんが、前嶋和弘氏上智大学教授、山脇岳志朝日新聞編集委員らと共著した本はこちらです。