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コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1

2009年 12月 18日 ( 1 )

活け締め」のレクチャーに出席してきました!

日米の食文化交流をめざした非営利団体、五絆ソサエティによる講義が、フレンチ・カリナリー・インスティチュートでレクチャーが行われたのです。

りっぱな講義室は参加者でいっぱい。
うわ、エリぞうの斜め前にあのイケメン・シェフクレイグ・コーケツさんの姿も!

全国のイケメン・ファンのために写真を撮っておこうかと思いましたが、いくらなんでも「すいません、イケメン画像を撮らせて下さい」とは失礼で言い出せず、今回はナシでごめん。

さて「活け締め」とはなにか。
みなさん、ご存じですか?

恥ずかしながら、エリぞう、活け締めと活き造りの違いをよくわかっておりませんでした(赤面)

講義をしてくれたのは、「すし膳」の鈴木シェフです。
ぷがぷが、どんどん!
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MEGUの小林シェフも講義をサポートしてくれて、デモンストレーションを。
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「魚がただ新鮮なほうがいいと思いこむのは、間違い。
熟成させることで旨みを増やすテクニックがあるのです」
と鈴木シェフ。

魚にはまずグルタミン酸という旨み成分が含まれています。
シイタケとか昆布の旨みですね。

これは海藻に由来とする旨みなので、釣ったばかりの魚をすぐに下ろして食べても、味わえる旨み。

ところが旨み成分はそれだけじゃない。
鰹節の旨み成分といわれるのがイノシン酸

イノシン酸は、タンパク質に含まれるATPが酵素によって分解されてできるもの。
そのため熟成させることで、旨みが増すのだとか。

「締めたばかりの魚で作ったお造りは、味がフラット
これを活け締めにして、熟成させることでイノシン酸を作り、より旨みを引き出すことができるのです」

グルタミン酸とイノシン酸は両方をかけあわせることで、旨みが飛躍的に増すんだそうです。

そして大事なことは「魚を苦しめない」こと。

「魚にストレスを与えない。
ストレスを与えてしまうと、疲労物質が出て、身がおいしくなくなるんですね」

輸送の途中などで自然死した魚を「野締め」と呼ぶそうですが、この野締めの魚だと身に血がまわり、疲労物質が出るので、白身の刺身にしても赤い点々が混じってしまうのだとか。

魚を苦しませない締め方が、結局のところ食べるほうにとってもおいしくなるというこの摂理。

まったく食というのは理にかなっているものです。

ここでデモンストレーションを披露。

まだ活きて動いているヒラメを押さえて、エラの外側から骨まで包丁をざっくり入れて、尾のところも骨まで断ちます。
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魚を水で洗いながら血抜きします。
血が身にまわると腥くなるので、とことん血抜きをするのがコツ。

そして首のつけ根から、背骨の上に通る神経を壊すためにワイアを通します。

「背骨の上の三角形になった部分にワイアを通して、神経を抜きます。
この神経抜きによって、死後硬直を遅らせることができるんですね」

ほへー。知らなかった!
活け締めっていうのは、活きたまま締めて、そのあとも身が活きているから活け締めだったのか!

ちょっとグロ画像になってしまうので、ここでは載せませんが、ようは鉄串を背骨の上に通していく感じですね。
すぐに抜いていました。

神経を抜いても、まだ魚には生体反応があってビチビチ動いているので、若いアメリカ人女性たちはドンビキのようでした(苦笑)

しかしながら鈴木シェフの手際がいいため、実際にはヒラメちゃんは即死、苦しまずに逝ったことだと思います。

やっぱり食というのは、他の生物の命をいただくことですから、料理するなら、シェフのように手際よく、そして大事にあつかえればベストですよね。

そして皮を引いていきます。
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ペーパータオルで血を取りながらサランラップに包んで、冷蔵庫にて保管。
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こちらが鈴木シェフの作ってくれたヒラメの薄造りです。
美しい!
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さっそく全員で活け締めした刺身と、下ろしたばかりの刺身を食べ比べてみます。
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この講義が行われたのが火曜日。
左から「Sunday」(二日経ったもの)「Monday」(一日経ったもの)そして「Today」(今日下ろしたばかりのもの)という三種類。

見た目からして、今日下ろしたばかりのものに比べて、二日締めているものは身が引き締まっています。

まず下ろしたばかりの薄造り
ふむ。
あまり味はないですね。
ポン酢とか醤油がないと淋しい感じ。

次に一日置いたもの。
おや、微妙に味わいが違います。

そして二日たった身から作った薄造りはどうでしょうか。

おおおお、旨い!
口のなかに広がる、なんともいえない旨み。
なにもつけなくても、ギュッと濃縮された旨みが味わえます。

まさに目からウロコがボロボロ!
百枚くらい落ちた気分だわー。

味の差が歴然ですね。
こうやって食べ比べてみなければ、なかなか比較ができないので、とてもいい経験でした。

こうした活け締めの方法は、日本で三百年以上も前から行われているそう。

いったい昔の人はどうやって「活け締め」を発見したんだろう?
魚の神経を抜いて、身を活きたままにするなんて天才すぎる

さすが世界に誇れる、日本の魚文化だす!

ちなみにこの活け締め、鈴木シェフによれば、グリルにしたり、ソテーにしたりする場合はソースやバターなどの味が加わるので、特に関係ないそう。

生でいただくか、軽く蒸す時にだけ、この活け締めが大切なんだそうです。
まさに繊細な和食の要となるもの。

いやー。こんなすばらしい日本の知恵があるのを、ちっとも知りませんでした、
いいことを勉強しマスタ。

日本人はつい「アメリカ人に繊細な和食なんてわからない」なんていいがちだけど、こうやって食べ比べてみたら、イッパツで目ウロコ。アメリカ人の参加者たちも納得していました。

やっぱり食というのは、教育ですね。
実際に体験してみないと、なかなかわからない。

こうやってアメリカで和食の知恵を無償で教えていってくれる人たちがいるのだなあということを拍手したいです。
ぱちぱちぱち!

こちらは鈴木シェフの包丁いれ。
ジェラルミン製で、ゴルゴ13みたいだぜ!
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左から五絆ソサエティ創始者の川野作織さん、MEGUの小林シェフ、手伝ってくれた生徒さん、鈴木シェフ、そして五絆のエグゼクティブディレクターである瀧上妙子さん。
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タメになる講義をありがとうございました!


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by erizo_1 | 2009-12-18 16:26 | 食の魔宮