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コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


by erizo_1
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2013年 07月 09日 ( 1 )

NYで行われている演劇祭MITFミッドタウン・インターナショナル・シアター・フェスティバルに日本から初めて参加するミュージカル、「カラー・オブ・ライフ
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蜷川カンパニーに17年間在籍して、演出補として蜷川氏のもとで働いてきた石丸さち子さん。
役者としてもNINAGAWAマクベスの舞台で、ブルックリンにある名門劇場BAMに立った経験がある石丸さんに、演劇論について尋ねてみました。
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—蜷川幸雄氏といえば、稽古にきびしいことでも知られていますが、ずばり灰皿を投げつけるという伝説は本当ですか?

石丸(以下:石)「まあ、うそではないですね(笑)私が演出助手になった頃はそれほどもう投げてはいなかったですが。
タバコは禁煙したので灰皿は投げないんですが、でもまあ、靴を投げかけることはあったかな(笑)

でもその気持ちはよくわかるんです。
人生賭けて芝居をやっているのに、そこに本気でやっていない人間がいると、それは投げつけたくなりますよ。
いい役者であれば、投げつけられるなんてことはありませんから。理由なく投げつけられるわけじゃないんですよ」

—石丸さんは平幹二朗さんや、唐沢寿明さん、野村萬斎さんといったと当代一流の俳優陣とも仕事をされてきているわけですが、いい役者というのはなにが違うんでしょう?

石「いい役者は「ポーズ」ボタンが効くんですよ。
稽古というのは、たとえば気持ちがあがっているシーンで役者がセリフを言ったとして、そこでいったん切って、演出上の注意を与えるわけですね。
台本を少しずつ切って演出を進めたり、ダメ出しをしたりしていくわけです。
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その時にいったん気持ちが切れて、また最初からやり出さないとそのテンションまで持っていけないのじゃ、演出家としては困る。

いい役者というのは「一旦停止ボタン」が効くんです。
停止ボタンを解除すれば、まったくその同じ感情の高まりから再現できる。

なぜなら役者は感情を心と躰で記憶して、肉体にマッピングできるから。
マッピングというのは、たとえば昂揚した時の呼吸がどのくらいの短さになっていたか、その時横隔膜はどうなっていたか、その喜びは頭から突き抜けるような喜びなのか、あるいは柔らかく下に溶けていくような喜びなのか。それを肉体で記憶するということです。

演劇というのは「繰りかえす芸術」なんです。
映画はいったん撮れば繰り返しませんが、舞台は何度も繰り返す。

役者がセリフをいう時に、声をまっすぐ相手に渡したのか、コロコロと転がすように渡したのか。それを躰が覚えていて、再現できなければならない。

マッピングできている感情の再現ができるのがプロの役者であって、「今回はちょっと気持ちが入らなかった」みたいにいうのはシロートですね。
その技術を軽視してはいけないと思います」
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—演出家として、蜷川幸雄さんからはなにをもっとも学びましたか?

石「美しいものですね。
私はもともと台本から考えていくタイプだったんですが、こんな風景を見たい、こんな風景で切りとるというビジュアルを教えられました。

そして視線
いつも蜷川さんは「アリの目と鳥の目」の二つが必要だというのだけれど、この視線です。
アリの目というのは近くで見つめること、とことん愛すること、とことん近くで見て役者に入れこむこと。
いっぽう鳥の目というのは俯瞰して見ること。
その二つの視線を同時に持つというのが、舞台をパブリックにするためにはとても大事です」
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—蜷川ステージといえば、スペクタクルな群衆シーンでも有名ですね。

石「これはもうたいへんな作業ですよ。最初に必ず役者全員に自分がどんな役でなにをしているのかを最初にきちんとわからせた上で、次に自由にさせる。

たとえば舞台に50人乗せるのでも、ただ並んでいたら少なく見えてしまう。けれどもデコボコをつけた並べ方によって、ぎっしり見える方法があるんですね。
あるいは全員が同じ方向をむいていたら動きがなくなる、あるいは意図が生まれてしまう。

だから最初に徹底的に自分がなにを演じているのか、役者たちにわからせなくてはならない。
その上で自由にさせることで、動きのあるスペクタクルな群衆シーンが生まれてきます。

ひとを信じないと作品は作れないけれど、むやみにひとを信じ過ぎると、作品がでたらめになる。私はそう思っています」

今回のミュージカルはたった二人の芝居で、ほとんど舞台装置もなく、とことんミニマルに抑えたもの。
それでいて歌の力と言葉の力、そして演出によって、とてつもなく大きく見えるんですね。
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いまを感じさせるオリジナル・ミュージカル。
美しい楽曲と、すばらしい伸びやかな歌声、そして深い歌詞を堪能して下さい!

Color of Life
【期日】
7月16日(火) 20:00
7月19日(金) 21:45

7 月 20 日(土) 8:30
7 月 21 日(日) 19:00(各回とも、開演の 15 分前に開場)

【会場】
Abingdon Arts Complex 1st floor 
Dorothy Strelsin Theatre
住所: 312 W. 36th Street, 1st floor, NYC
【公演サイト】
http://polypho.com/col
【料金】
一般 $18.00 シニア・学生 $15.00
【チケット申込】
https://web.ovationtix.com/trs/cal/27845

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by erizo_1 | 2013-07-09 14:19 | カルチャーの夕べ