コラムニスト 黒部エリがニューヨークからお届けします。Blog by Eri Kurobe


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NYで、日本を拠点とする国際人権団体ヒューマンライツ・ナウ」によるイベントが開かれます。

これは国連の女性の地位委員会のイベントに伊藤弁護士らが来米するのに合わせて行われるもの。

伊藤和子弁護士は、「世界で最も深刻な人権侵害に苦しんでいる人々のために」の想いを胸に、2006年、東京を本拠に国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」を立ち上げ、世界の人権侵害に取り組む活動を続けています。
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そこに同じく国連の女性の地位委員会のために来米する伊藤詩織さんも登場!

わたしは詩織さんの著書、「ブラックボックス」を読んだので、非常に関心を持っています。
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本の詳細はこちら。
Black Box

読んだ後は、正直ショックで胸がふさがれました。
読まれていない方にご説明すると、本意に書かれているのは、相手を責めるというよりも、そういった事件が起きた時に、いかに日本では女性にとって訴えて立証できる方法が少ないかという啓蒙的な内容です。

性暴力があった後に、まず医者に行けばいいのか、警察に行けばいいのか。何を証拠にしたらいいのか。密室で起きたことをはたしてどう立証できるのか。

そしてこうしたケースに巻きこまれた時に、女性がいかに警察で恥ずかしい目にあうか、嫌な質問を受けるか、じつに暗澹たるものがあります。

アメリカではデートレイプというのが非常に大きな社会問題となっていますが、レイプというのは何も知らない人間から襲われるというものではなく、知人同士、デートする間柄でも起こり得るのです。
飲み物に混ぜて相手を泥酔させるデートドラッグも大きな問題になっています。

そしてこの件について、わたし個人がなにより驚いたのは、アメリカでのムーブメントと、日本での温度差

衝撃的だったのは、日本では詩織さんに対してかなりバッシングの声があったこと。
それも女性の論者を含めてです。

中には「ハニートラップ」や「枕営業」という言葉すらあって驚きました。
えええええ?
もし自分の性的魅力を使って仕事や情報を得ようとする気持ちがあるなら、泥酔しないのでは?

さらに「そもそも泥酔する時点で隙がある」という意見があるのにも驚きました。

いやいやいや、泥酔は泥酔であって、合意ではないですよ!

男性でも泥酔して寝ていたら、蹴飛ばしていいとか、身ぐるみ剥いでいいなんてことはないです。
もし酔ってサイフを盗まれたら、盗難届けを必ず出すべき。

もし自分の夫だと仮定すると、一緒に飲んでいる相手が泥酔したら、ふつうにタクシーで送り返すはず。
相手の女性が酔っているからといって性交渉したら、離婚問題ですよ。

アメリカでは、#TimesUpという運動は、権力のある男の横暴をもう許さない、という話です。

「権力ある男性が、下位にある女性(男性)に性暴力できるのはもうお終いにしよう」

という運動のこと。
アメリカではこの運動で、著名なニュースキャスターからオリンピックのコーチ、ファッションフォトグラファーまで首が飛びました。

本人の政治的立ち位置は関係ありません。

発端となったワインスタインは、クリントン陣営など民主党に多く献金してきた人物です。
政治的立場はリベラルです。アカデミー賞を取る作品を作り続けてきた。それでも破産という事態に。

ブルースウェーバーといえば写真界では第一人者です。
彼が芸術に貢献してきた実績はすばらしいのだし、わたし個人も好きな作家です。
それでも男性モデルへのセクシャルハラスメントで訴えられて、今後はコンデナストでは使わないと明言。

オリンピックで米国をメダルに導いてきたコーチも、セクハラで失脚しています。

これは厳しいことながら、いいことだと思います。
そのくらい気をつけないと、権力を持った男(あるいは女)というのは好き勝手できるものですから。

ME TOOというのは、なにも男から女ではない。男から男というケースも多いのです。(当然ながら女から男、女から女も含まれます)

そしてアメリカでのME TOO運動でいえば、一番多くの被害者が出たのはスポーツ界なのです。

深刻なのは中高生に対するコーチのセクハラです。もちろん男子も含まれます。
中高生だけに大人に対して声をあげられない。

一番重要なのは、こうした被害を今後増やしていかないこと。
権力のある存在が好き勝手にセクハラできないように、被害者が連帯して被害を告発していくこと。

そしてなにより意識を変えていくことだと思います。

わたし自身もじつはここは反省するところです。
わたしが仕事を始めた頃は、マスコミではセクハラなんて言葉すらなかったんですね。

男に混じって仕事する女だったら笑って受け流せる度量が必要、そのくらいサバけていないと仕事にならない、いちいち目くじらを立てないというのが職場の常識だったと思います。

わたし自身も当時は、そう考えていました。
男性と肩を並べて仕事するなら、ガタガタいうべきではないのだと。

けれども、それを今の若い人も受けいれなくちゃいけないかというと、それはまったく違う。

そんなこと、もう我慢しなくていいんですよ。
「それが当たり前」ではなくて、みんなの意識じたい変えていけばいいんです。

日本では#METOOの声をあげる人は少ないですよね。

では日本ではセクハラがないかというと、むしろその反対。
いろんな女性が嫌な目にあってきたことでしょう。
でもまるっきり声があがっていない

そこには日本独特の協調性があるからで、今さらガタガタいっても仕方ない、誰かを責めたくないといった深慮があるのかと思います。

さらにいえば、声をあげた人がバッシングされるというのを懸念しているのかもしれません。

そこは社会の違いとしても、せめて勇気を出して声をあげた人がいたら、その人を叩くべきではない

フランスではME TOO運動に対して、カトリーヌドヌーヴが「男性には口説く権利がある」という反論をして、それが反対にコテンパンに叩かれるという流れがありました。

現実の多くのセクハラというのは、なにも女優が口説かれるといったドラマチックなことではないのです。

通学通勤電車で毎日のセクハラに耐えることだったり、飲食店に勤めながら客のセクハラに耐えることだったり、得意先の性的なジョークに堪えることだったり、上司のセクハラな言動に堪えることだったり、文句をいえない立場の人が仕方なく堪えているケースでしょう。

そんなものは本当に要らないと思う。

はたして日本に育ち、働いたことのある女性で痴漢やセクハラに会ったことがない人っているんでしょうか。

わたしも東京で育ちましたから、通学電車で痴漢にあうのは、仕方がないことなのだと考えていました。

でも日本以外の国は、必ずしもそうではない。
アメリカでは子どもはスクールバスで通学したり、郊外であれば親の車で通学したり、あるいは通勤通学列車が首都圏ほど混まないという背景があって、痴漢行為が日本のように日常的にあるわけではないのです。

先進国で女性が、公共交通機関に安全に乗れないことじたい、問題ではないでしょうか。

でも小さなことからだって少しずつ習慣は変えていけるし、社会の意識も変えていけるのではないでしょうか。

たとえばクライアントを接待する席で、もし部署の一番若い女の子がお酌をするというのが慣例になっていたら、それはやっぱりおかしいわけです。

そのことじたいはなにも違法ではないし、いけないことでもない。
けれども、そういうジェンダーの刷り込みが本当に必要なのかという自問なしに「これが慣例だから」となっていたら、一度は考え直すべきですよね。

その「当たり前」にされていたことを今いちど考え直すのが、times upなのではないでしょうか。

ここまでは、あくまでもたんなるわたしの個人的意見です。
だからこそ「性被害にあわない社会を作っていく」「ジェンダーの社会通念を変えていく」ことについては非常に興味があります。

こうした現状に勇気をもって声をあげた伊藤詩織さんが、アメリカでどういう意見を発してくれるか関心があるので、ディスカッションを見に行く予定です。

「ヒューマンライツ・ナウ」の講演ですが、まず日系人会のビジネスウーマンの会で行われます。

「声をあげ始めた女性たち~#Me Tooの先に見えるか、女性が安心して働く職場」

というタイトルで語られます。

世界の女性が次々と「#Me Too」の声をあげ始め、そして今年に入って、虐待やハラスメント、様々な不平等に対し、女性たちが口を閉ざす時代は終わったと訴える「Time’s Up」運動が広がっています。

こうした中、日本社会は一体どのような状況になっているのでしょうか?
 
伊藤弁護士が、その活動を通して感じる働く女性の意識や抱える問題、世界で広がる#Me Tooの動きと日本の現状等について語っていただきます。

そして性暴力のない社会を求めて活動する伊藤詩織さんが、スペシャルゲストとして参加されます。

#Me Tooの動きの背景や現状をお二人から伺い、#Me Tooの先に見える、女性が安心して働ける環境について考える場になるそうです。

講師:伊藤和子さん(弁護士、国際人権NGO “Human Rights Now” 事務局長、ミモザの森法律事務所代表)
特別ゲスト:伊藤詩織さん(ジャーナリスト)
モデレーター:津山恵子さん(国際ジャーナリスト) 


▪️ 日時:3月15日(木) 受付開始 6:30pm / 開演 7:00pm

▪️ 場所:日系人会ホール  49 West 45th Street 11階

▪️ 参加費(軽食付)ゲスト $30 / JAAメンバー $25 / 学生 $20 
           (現金 or チェック=宛先 JAA )

▪️ 締切:3月13日(火)

▪️ 問合せ・質問 event.jwb@gmail.com (自動返信応答あり)


貴重な機会ですので、ぜひお見逃しなく!
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さらに16日には、第62回国連女性の地位向上委員会パラレルイベントが開催されます。
こちらは英語のみでのイベントとなります。

.......................................................................................
日時:  3月16日(金) 4:30pm ~
場所:  The Armenian Convention Center
  Room: Vartan Hall

伊藤和子弁護士(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)
後藤弘子教授(千葉大学法学部教授)
伊東詩織氏(ジャーナリスト、Black Box著者)
モデレーターとして国際ジャーナリストの津山恵子さんも出ます。

  630 2nd Avenue, New York NY 10016
題名:  #Me Tooからの新たな挑戦
     声をあげた人たちを守ろう&社会意識を変えよう
     ・世界各地で広がった#Me Too運動の体験やインパクトの共有
     ・女性が声を上げにくくしている方的、社会的、文化的なバリアを考える
参加費: 無料 
問合先: hrnnyinfo@gmail.com

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無料であり、特に申し込みといったことはないそうです。
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さらに伊藤和子さんの活動を知りたい方は、こちらの「人権は国境を越えて」がお勧めです。
東南アジアの複数の国で、その国の人権擁護や女性や子どもの労働者のために動いてきた伊藤弁護士。

なぜ日本拠点の国際人権団体が大切なのか、本がいかに多くのアジアの国々を援助してきて、「押しつけにならない支援」をできることなど、非常に考えさせられます。
岩波ジュニア文庫ですが、大人にもお勧めです。

人権は国境を越えて (岩波ジュニア新書)
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by erizo_1 | 2018-03-08 16:21 | 社会の時間
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ニューヨークの教会で、3月4日第7回目となるTOGETHER FOR 311東日本大震災追悼式典が催されました。
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東日本大震災の追悼式典として2012年から行われているもの。
主宰はフェローシップフォージャパン。東日本大震災の後にさまざまな支援活動がNYで繰り広げられた時につながったボランティア有志で、わたしも当初からスタッフとして関わっています。
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第7回目となる今年は、440人の方に参列いただきました!

髙橋礼一郎ニューヨーク日本総領事の呼びかけで参列者は一分間の黙とうを。
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代表であり司会のAK(柿原朱美)さんは「震災から7年が経ちましたが、まず忘れていないということを伝え続けたい」と語りました。
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岩手県からは陸前高田市の NPO法人桜ライン311代表理事である岡本翔馬さんがビデオでメッセージを届けてくれました。
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岡本さんは岩手県陸前高田市出身。
震災時には東京にいましたが、陸前高田市に戻った友人が消防団に入り、震災当日帰らぬ人となったことが今でも忘れられないと語ります。
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そして「生きることに正面から向き合う」ために陸前高田に移り、2011年10月NPO法人桜ライン311を設立。
今後人命の失われることのない社会を目指し、市内の津波到達地点に桜の苗木を植樹しています。

参列者たちにも
「自分の大切な人が災害で失われる悲しみと、防げなかった後悔を思い浮かべ、この日を自然災害について備えがあるか考える日にして下さい」
と胸を打つメッセージを送ってくれました。

宮城県からは岩沼市出身で、現在はNYに住むイラストレーター 大友あかり “acary”さんがスピーチを行いました。
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あかりさんは宮城大学への入学を控えた春休みに東日本大震災を体験
震災後、「つねに残された時間を生きているということを意識するようになり、7年の間に、時間が限られているならやりたいことにやろうというポジティブな気持ちを持つようになった」といいます。

ニューヨークで活動する今も、常に故郷に想いを寄せてデザインをしているそう。

故郷を災害が起きる危険な場所というマイナスなイメージではなく、「そのような歴史から学んで来ていること、そして土地の持つ魅力を伝えていける活動をこれからも続けていきたい」と、将来の抱負を語ってくれました。
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そして福島県からは福島ふたば未来学園の生徒11名が壇上に登り、代表として高校二年生の関根颯姫 (せきねさつき)さん(16歳)がスピーチ。その英訳を同じく高校二年生の遠藤瞭(えんどうりょう)さんが担当してくれました。
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被災当時は9歳、小学校4年生だったという颯姫さん。
4ヶ月間東京近くで避難生活を送ることになったそうです。

ところが誤った情報流布のために、転校先の学校で「福島に帰れ」「汚い」といったイジメや暴力を受け、信頼していた友達にも裏切られ、一時は自殺すら考えたそう。

それでも「自分にはまだやるべきことがある、夢がある」という思いが彼女を支え、「みんなを笑顔にしたい」という夢を叶えたいと考えるようになったといいます。

そして夢を叶えるために、福島に帰郷した後は未来学園に入学、演劇部に入って、演劇コンクールで優秀賞を取るまで至りました。
「これからも人々を笑顔にしていきたい」と熱い夢を語ってくれました。
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子どもたちは子どもたちの世界で、震災後の日々を必死にサバイバルしていたのだという思いに胸を打たれるとともに、新しい世代が語る言葉に、未来への希望も感じさせてくれました。

第一回目追悼式典からメッセージを送ってくれている福島県相馬市みなと保育園からは今年もビデオが届きました。
 今回、歌を歌ってくれているのは、震災後に生まれた園児たち。
「元気に笑顔で過ごしていきます」
と歌を披露してくれました。
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会場ではNYの日本語補習校に通う「風の環」少年少女合唱団は「さくらさくら」「翼を下さい」といった歌を元気に合唱。
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式典会場のチャリティ販売コーナーでは、復興グッズが販売され、募金箱に集まった寄付金は領事館とジャパンソサエティを通じて被災地に送られます。

NY在住の邦人にとっては、日本はかけがえのない故郷
あの震災を忘れていません、一緒に前に進んで行きましょうと伝え続けたいです。
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photography: Lisa Kato, Masahiro Noguchi, Kiriko Shirobayashi
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by erizo_1 | 2018-03-07 16:15 | 社会の時間